判決書に記録すべき検察官の官氏名は、審理または判決言渡のいずれかに出席した検察官の官氏名だればよいのであつて、必ず判決言渡に出席した検察官の官氏名でなければならないと解すべきではない。
判決書に記載すべき検察官の官氏名
刑訴規則56条
判旨
刑事裁判の判決書に記載すべき検察官の官氏名は、審理又は判決言渡のいずれかに出席した検察官であれば足り、必ずしも判決言渡に出席した検察官である必要はない。
問題の所在(論点)
判決書に記載すべき検察官の官氏名は、判決言渡の公判に出席した検察官でなければならないか(刑訴法等の定める判決書の記載要件の解釈)。
規範
刑事訴訟法及び刑事訴訟規則の規定(刑訴法46条、刑訴規則57条1項等)に基づき、判決書に記載すべき検察官の官氏名については、当該被告事件の審理(公判)又は判決言渡のいずれかの手続に関与した検察官であれば、その適法性を満たす。必ずしも判決言渡の公判に立ち会った検察官の氏名を記載しなければならないと解すべき法的根拠はない。
重要事実
第一審判決原本において、公判出席検察官として検事事務取扱副検事の氏名が記載されていた。当該副検事は、第一審の第1回、第2回、第3回及び第13回の各公判に出席し、審理に関与していた。しかし、当該副検事は判決言渡の公判には出席していなかったため、弁護人は判決書の記載に法令違反があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、判決書に記載された副検事は、第一審の審理段階において計4回の公判に出席しており、実質的に訴訟に関与している。判決書は当該事件の公判手続全体を総括する書面であるところ、審理に関与した検察官の氏名を記載することは、手続の正確性を担保する上で十分である。判決言渡時に物理的に出席していたか否かは、判決書に記載すべき検察官としての適格性を左右するものではないと解される。
結論
判決書に記載すべき検察官は、審理又は判決言渡のいずれかに出席した者であればよく、本件の記載に違法はない。
実務上の射程
判決書における検察官の記載方法に関する形式的要件を明示したものである。実務上、審理担当検察官と判決立会検察官が異なる場合でも、審理に関与した検察官を記載すれば足りるという運用の指針となる。
事件番号: 昭和24(れ)519 / 裁判年月日: 昭和24年9月10日 / 結論: 棄却
一 舊刑事訴訟法第六九條第二項により判決書に記載すべき檢事の氏名は公判に關與した檢事の氏名であるから、審理又は判決言渡のいずれかの公判に關與した檢事の氏名であればよいのであつて、必ず審理に關與した檢事の氏名でなければならないと解すべき理由はない。 二 控訴審の公判期日に被告人を召喚する手続がとられていなくても、その期日…
事件番号: 昭和26(あ)3281 / 裁判年月日: 昭和28年7月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書に記載すべき検察官の氏名は、当該事件の審理または判決言渡しのいずれかに関与した検察官の氏名であれば、法的に必要十分である。 第1 事案の概要:被告人らは、粕取焼酎の製造等に関連する刑事事件において有罪判決を受け、上告した。上告趣意の中で、判決書に記載された検察官の氏名が適切でない旨の法令違反…