一 舊刑事訴訟法第六九條第二項により判決書に記載すべき檢事の氏名は公判に關與した檢事の氏名であるから、審理又は判決言渡のいずれかの公判に關與した檢事の氏名であればよいのであつて、必ず審理に關與した檢事の氏名でなければならないと解すべき理由はない。 二 控訴審の公判期日に被告人を召喚する手続がとられていなくても、その期日が被告人に通知されておれば、その控訴審の手続も違法ではない。
一 舊刑訴法第六九第二項により判決書に記載すべき檢事の氏名 二 控訴審の公判期日に被告人を召喚することの要否。
舊刑訴法69條2項,刑訴法404条,刑訴法273条2項,刑訴法390条
判旨
判決書に記載すべき検察官の氏名は、審理又は判決言渡のいずれかの公判に関与した者であれば足り、必ずしも審理に関与した検察官である必要はない。
問題の所在(論点)
判決書に記載すべき「公判に関与した検察官」とは、審理(弁論)に関与した者に限られるか、あるいは判決言渡しのみに関与した者も含まれるか。
規範
判決書に記載すべき検察官の氏名(現行刑事訴訟法46条、刑事訴訟規則57条1項2号等参照)は、公判に関与した検察官の氏名を指す。これは、審理に関与した検察官に限定されず、審理又は判決言渡のいずれかの公判に関与した検察官の氏名であれば、記載として適法である。
重要事実
被告人の詐欺事件において、原判決の判決書には、判決の言渡しに立ち会った検察官の官氏名が記載されていた。しかし、判決の基礎となる審理(弁論)に立ち会ったのは別の検察官であったため、弁護人は、判決書には審理に関与した検察官の氏名を記載すべきであり、言渡しに立ち会ったのみの検察官を記載した原判決には理由不備等の違法があると主張して上告した。
事件番号: 昭和28(あ)5602 / 裁判年月日: 昭和30年10月4日 / 結論: 棄却
判決書に記録すべき検察官の官氏名は、審理または判決言渡のいずれかに出席した検察官の官氏名だればよいのであつて、必ず判決言渡に出席した検察官の官氏名でなければならないと解すべきではない。
あてはめ
旧刑事訴訟法69条2項(現行法下でも同様の趣旨)により判決書に記載すべき検察官の氏名は、広く「公判に関与した」者であれば足りる。本件において、原判決に記載された検察官は、審理には関与していないものの、判決の言渡しという公判手続の一環に立ち会っている。したがって、当該検察官は「公判に関与した検察官」に該当すると評価でき、その氏名を記載することに違法はない。
結論
判決言渡しのみに関与した検察官の氏名を判決書に記載することは適法であり、原判決に違法はない。
実務上の射程
判決書の必要的記載事項に関する形式的事項の判断であり、実務上、検察官の交代がある場合でも言渡し時点の関与検察官を記載すれば足りることを確認したもの。答案上は、公判手続の適法性や判決書の形式的有効性が争点となる場面で、検察官の「関与」を広く解する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)1221 / 裁判年月日: 昭和24年3月23日 / 結論: 棄却
一 原判決書には裁判官の表示並に署名捺印が存し該裁判官が公判に關與した裁判官であること原審公判調書により明白であるから原判決には裁判をした裁判官の署名捺印を缺く違法はなく、その慣例に基く裁判官の表示「判事」としたのは正當であつて原判決には所論の缺點は毫も存しない。 二 舊刑訴第六八條(刑訴規則第五五條參照)には「裁判書…