判旨
起訴状に検察官事務取扱である旨の記載を欠いたとしても、それが単なる字句の脱漏にすぎず、客観的に検察官事務取扱としての起訴であることが明らかであれば、公訴提起の手続は有効である。
問題の所在(論点)
検察官事務取扱としての肩書きを欠いたままなされた公訴提起の有効性と、起訴状の記載不備の限界(刑事訴訟法256条1項の要件および訴訟手続の瑕疵)。
規範
検察官事務取扱として公訴を提起する際、起訴状にその旨の記載を欠いていたとしても、それが記録等に照らして単なる字句の脱漏にすぎないと認められる場合には、訴訟手続の効力に影響を及ぼさない。
重要事実
本件では、宮崎地方検察庁の検察官副検事Aが、同検察庁の検察官事務取扱として本件を起訴した。しかし、起訴状の作成に当たり、肩書きとして「検察官事務取扱」という字句を記載せず、単に「宮崎地方検察庁検察官副検事A」と記載した。被告人側はこの形式的不備を理由に、公訴提起の有効性を争った。
あてはめ
記録によれば、副検事Aが実際に検察官事務取扱として起訴した事実に疑いはない。起訴状において「事務取扱」の字句が記載されなかったのは、単なる字句の脱漏にすぎない。したがって、公訴提起の主体や権限に実質的な欠陥があるわけではなく、被告人の防御等に実質的な不利益を生じさせるような重大な瑕疵とはいえない。
結論
本件起訴状の記載不備は公訴の効力を左右するものではなく、公訴提起は有効である。
実務上の射程
起訴状の形式的記載事項に軽微な誤記や脱漏があっても、客観的な事実関係からその趣旨が明らかであれば、訴訟手続を無効とはしないという「手続の合目的性・安定性」を重視する判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)587 / 裁判年月日: 昭和27年3月14日 / 結論: 棄却
法令合議事件を一人の裁判官が審判した場合は、単なる訴訟手続の法令違反であつて、事物管轄の規定に違反したものとして取り扱うべきでない。
事件番号: 昭和26(れ)553 / 裁判年月日: 昭和27年2月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公訴事実を特定するに際し、司法警察官の事件送致書記載の事実を引用することは許容され、また内容を明らかにするための紙片の貼付も起訴状の方式に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が詐欺罪等で起訴された際、検察官が提出した公判請求書(起訴状)には、公訴事実として司法警察官の事件送致書に記載された犯罪事…