本件は被告人外数名の共犯者と共に公訴が提起され、また関連事件と併合審理をしたため共同被告人の数十数名に及び、且つ事件も相当複雑な事案であるから一、二審を通じて二年五ケ月の日数を要したとしても、これを目して裁判の迅速を欠いたということはできない。
共同被告人が十数名であり且つ相当複雑な事案のため一、二審を通じて二年五ケ月の日数を要した場合裁判の迅速を欠いたといえるか
憲法37条1項
判旨
憲法37条1項の保障する「迅速な裁判」に反するか否かは、事件の複雑性や併合審理の状況等の諸事情を総合して判断すべきであり、一審及び二審の審理に2年5か月を要したとしても、共犯者が多数で事案が複雑な場合には直ちに違憲とはならない。
問題の所在(論点)
数名の共犯者や多数の共同被告人が関与する複雑な事案において、第一審・第二審の審理に2年5か月を要したことが、憲法37条1項にいう「迅速な裁判」を欠いたものとして違憲となるか。
規範
憲法37条1項が保障する迅速な裁判を受ける権利の侵害の有無については、審理に要した期間の絶対的な長さのみならず、被告人の数、事件の複雑性、併合審理の有無、その他記録に現れた諸般の事情を総合的に考慮して、不当な遅延があるか否かを判断する。
重要事実
被告人Cを含む数名の共犯者と共に公訴が提起され、さらに、共同被告人が数十名に及ぶ関連事件との併合審理が行われた。このため、第一審から第二審までの審理に合計2年5か月を要した。被告人側は、この審理期間が迅速な裁判を受ける権利を侵害し、被告人の上訴権を抑圧したとして違憲を主張した。
あてはめ
本件は被告人以外に数名の共犯者が存在し、さらに関連事件との併合審理が行われた結果、共同被告人が数十名という多数に上っている。このような事案の性質に照らせば、事件の内容は相当に複雑であると認められる。したがって、一審・二審を通じて2年5か月の日数を要したことは、事案の複雑性や審理の適正を確保する必要性に照らし、合理的期間の範囲内といえる。
結論
本件の審理が迅速を欠いたということはできず、憲法37条1項に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟において、審理期間が長期化したことによる「迅速な裁判」の侵害を主張する際の判断枠組みとして活用できる。高田事件(最大法判昭47.12.20)のような極端な遅延がない限り、実務上、複雑な併合事件での数年単位の審理は適法とされる傾向にあることを示す事例である。
事件番号: 昭和50(あ)1570 / 裁判年月日: 昭和52年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する迅速な裁判の権利について、公訴提起から判決言渡しまでの期間が長期に及んだ場合であっても、記録上の諸般の事情を総合考慮し、同条に反する異常な事態に立ち至ったと認められない限り、憲法違反とはならない。 第1 事案の概要:被告人に対する公訴提起から第一審判決の言渡しまで、弁護人が…