判旨
被告人が公務員であることの判示が原判決文から明らかであれば、公務員職権濫用罪等の公務員を主体とする犯罪において、その身分に関する判示を欠くという違法は存在しない。
問題の所在(論点)
公務員であることを構成要件とする犯罪において、判決文にその身分に関する直接的な判示がない場合、理由不備等の法令違反(刑訴法378条等)に該当するか。
規範
判決書において被告人の身分が問題となる場合、判決文全体の記載からその身分が公務員であることが客観的に明らかであれば、構成要件に係る判示として必要十分な記載がなされているものと解する。
重要事実
被告人Aが公務員職権濫用等の罪に問われた事案において、弁護人は原判決に被告人が公務員であることの判示が欠けており、法令違反がある旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人が公務員である事実は、原判決の文面全体を検討すれば十分に明らかである。したがって、改めて独立した判示を欠いていたとしても、実質的な構成要件の認定に欠けるところはなく、法令違反には当たらないと評価される。
結論
被告人が公務員であることの判示が原判決文から明らかである以上、法令違反の主張は当たらない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
判決書の「理由」における構成要件該当性の認定において、厳密な文言の欠落があったとしても、判決文全体からその充足が合理的に読み取れる場合には、理由不備の不法とはならないとする実務上の柔軟な判断枠組みを示している。
事件番号: 昭和28(あ)126 / 裁判年月日: 昭和30年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公務員による金員の収受が賄賂罪における「職務に関し」たものといえるか否かは、当該公務員の一般的職務権限に属するか否かにより判断される。 第1 事案の概要:被告人は公務員の身分を有しており、第三者から金員を収受した。この金員の授受が、被告人の担当する事務の範囲内、すなわち職務に関連して行われたものか…