判旨
共謀共同正犯の成立には、共犯者間での意思の疎通(共謀)が必要であるが、その認定は事実審の証拠判断および事実認定の専権に属する。また、量刑の不当は原則として適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
被告人と相被告人らの間に共謀の事実が認められるか、および原審の量刑が憲法36条に違反するかが問題となった。
規範
刑法60条の共同正犯が成立するためには、二人以上の者が特定の犯罪を行うために共同して実行する旨の合意(共謀)が必要である。この共謀の有無は、諸般の事情を総合して判断される事実認定の問題であり、証拠の評価は事実審の専権に属する。また、量刑については、著しく不当でない限り、憲法36条が禁じる残虐な刑罰には当たらない。
重要事実
被告人が他の相被告人らと共に犯行に及んだとして起訴された事件において、被告人側は、被告人と相被告人らの間に本件犯行に関する共謀の事実は認められないと主張した。また、原審の量刑が重すぎるとして、憲法36条の禁じる「残虐な刑罰」に該当し、違憲であると主張して上告した。
あてはめ
共謀の有無について、被告人は事実認定の誤りを主張したが、最高裁は原審の証拠判断および事実認定を相当と判断し、これを維持した。量刑については、単なる不当を訴えるものであって、実質的には刑訴法405条所定の上告理由に当たらない。また、憲法36条の「残虐な刑罰」は死刑等の種類を指すものであり、本件のような量刑の不当が直ちに違憲となるわけではないとした。
結論
被告人と相被告人の間の共謀を認めた原審の判断に誤りはなく、量刑不当の主張も上告理由に当たらないため、上告を棄却した。
実務上の射程
共謀共同正犯における「共謀」が事実認定の問題であることを確認する。答案上は、共謀の成否を論じる際、事実関係から「意思の疎通」が推認されることを論証する根拠となる。量刑不当については上告審での救済が限定的であることを示す一例である。
事件番号: 昭和28(あ)4767 / 裁判年月日: 昭和30年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀罪の成立に関し、証拠に基づき共謀の事実が認定できる場合には、判例違反や証拠によらない事実認定等の違法は存在しない。 第1 事案の概要:被告人が共謀の事実を否定し、原判決には証拠によらずに事実を認定した違法や証拠の趣旨を誤解した違法、および判例違反があるとして上告した事案。第一審判決では関係する…
事件番号: 昭和29(あ)1056 / 裁判年月日: 昭和33年5月28日 / 結論: 棄却
一 いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて犯罪を実行した事実が存しなければならない 二 いわゆる共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しな…