昭和二七年三月三一日の物品税法の一部を改正する法律においては、物品税の課税物品から飴を一旦削除することを規定して而る後に「この法律施行前にした行為に対する罰則の適用についてはなお従前の例による」という附則4を設けたのではなくして、両者の規定は同時に設けられ同時に施行せられたのである。従つてこの法律改正前の行為に対する罰則は改正によつて中断することなく引続いて効力を有しているものと解すべきである。そうだとすれば、右の法律改正前の行為に右の罰則を適用したことは、行為の後に設けられた法令を遡及して適用したことにはならない。
物品税法の一部改正により削除された課税物品の改正前の違反行為に対しその罰則経過規定により処罰することと憲法第三九条
物品税法の一部改正法律(昭和27年法律第56号)1項,物品税法の一部改正法律(昭和27年法律第56号)附則4項,憲法39条
判旨
法律改正により課税物品が削除された場合であっても、改正法附則において施行前の行為に対する罰則適用の経過措置を設けているときは、処罰は中断せず、憲法39条の遡及処罰禁止に違反しない。
問題の所在(論点)
法律改正により特定の行為が処罰対象から除外された際、附則によって改正前の行為を処罰し続ける経過措置を設けることが、憲法39条の遡及処罰禁止の原則に抵触するか。
規範
法律改正によってある行為が処罰の対象外となる場合であっても、改正法と同時に施行される附則において、改正前の行為に対する罰則の適用につき「なお従前の例による」旨の経過措置が規定されているときは、当該罰則の効力は中断することなく継続していると解すべきであり、これを適用することは憲法39条が禁止する遡及処罰には当たらない。
重要事実
被告人は、物品税法改正前に課税物品であった「飴」に関して同法違反の行為を行った。その後、昭和27年の法改正により、飴は課税物品から削除されたが、同改正法の附則4には「この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による」との規定が設けられ、改正規定と同時に施行された。弁護人は、改正前の行為に罰則を適用することは、行為後に設けられた法令を遡及して適用するものであり、憲法39条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件改正法では、飴を課税物品から削除する規定と、改正前の行為に対する罰則の適用を維持する附則4の規定が、同時に設けられ、かつ同時に施行されている。この場合、改正前の行為に対する罰則の効力は、法改正によって一旦消滅した後に復活するのではなく、改正前後を通じて中断することなく継続しているといえる。したがって、行為時点において既に存在し、かつ改正後も効力を維持している罰則を適用するにすぎないため、行為後に設けられた法令を遡及して適用したことにはならないと解される。
結論
附則による経過措置に基づき改正前の行為を処罰することは、罰則の効力が中断していないため、憲法39条に違反しない。
実務上の射程
法改正による「刑の廃止」や「変更」があった場合でも、立法者が経過措置を設けることで旧法の処罰規定を維持することは合憲であるとする。刑法6条の例外(特別法による別段の定め)が憲法上も許容されることを裏付ける判例であり、租税犯や行政罰の改正場面で重要となる。
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一 物品税または取引高税を逋脱する目的で、製造場から製品を移出販売しその代金を受領しながら、これについては所轄税務官吏には秘密の伝票帳簿を作成記入し、右官吏の検査に供すべき正規の帳簿に記入しないようなことをすれば、その行為は、物品税法(昭和二四年法律第二八六号による改正前のもの)第一八条第一項にいう「不正ノ行為ニヨリ物…