国税犯則取締法第一五条は、憲法第三一条、同第一四条に違反しない。
国税犯則取締法第一五条の合憲性。
憲法31条,憲法14条,国税犯則取締法15条
判旨
国税犯則事件における通告処分に公訴時効中断の効力を認める規定は、犯則手続の特殊性や立法政策の合理性から、憲法14条および31条に違反しない。
問題の所在(論点)
国税犯則取締法15条が通告処分に公訴時効中断の効力を認めていることは、刑事訴訟法の原則に反し、憲法14条や31条に違反するか。
規範
公訴時効制度において、時効停止の制度をとるか時効中断の制度をとるかは、時効制度の本質に照らし立法政策の問題である。特定の行政手続が公訴権の発動に密接に関与し、かつその手続中に時効が完成することで公訴提起が不可能になる等の不当な結果を避ける必要性がある場合、当該手続に時効中断の効力を付与することは合理性を有し、憲法に抵触しない。
重要事実
被告人は国税犯則事件に関与した。国税犯則取締法(当時)15条は、税務署長等が行う「通告処分」に公訴時効中断の効力を認めていた。弁護人は、現行刑事訴訟法が一般に時効中断を認めていない点等から、当該規定が憲法31条(適正手続)および14条(法の下の平等)に違反し無効であると主張して上告した。
あてはめ
まず、国税犯則事件は税務署長等の告発が訴訟条件(訴追の前提)であり、告発には通告処分を経るのが原則である。このように、通告処分の結果が公訴権の発動を左右する関係にある以上、検察官の公訴維持のために中断の効力を認めるのは合理的である。次に、時効完成直前に発覚した場合、通告処分の履行期間(20日)内等に時効が完成すると、犯則者を不当に利し納税秩序を損なう恐れがある。さらに、通告処分は一回限りで中断が繰り返されることもない。これら実務上の必要性と制度の特殊性に鑑みれば、不合理・不平等な定めとはいえない。
結論
国税犯則取締法15条は憲法14条、31条に違反せず有効である。したがって、時効中断を認めた原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事手続の一般原則(時効停止)と異なる特別法の規定(時効中断)の合憲性を判断した射程は、他の行政犯手続にも及ぶ。答案上は、立法政策の合理性や制度の特殊性をキーワードに、手続の合理性を論じる際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(あ)1134 / 裁判年月日: 昭和35年10月25日 / 結論: 棄却
甲会社代表者が甲会社の業務に関し、不正に物品税を逋脱せんがため乙会社の名義を形式的に利用して注文を受け、甲会社にその製造を課税最低限価格未満の価格または注文価格を著しく低下せしめた価格で請負わせて甲会社が乙会社にその製品を右価格で移出したように仮装し物品税を免れた場合には、物品税法第一八条第一項第二号の罪が成立する。