判旨
間接国税犯則事件の通告処分において、犯則事実は具体的に示されていれば足り、物品名や日時等の詳細な明示は不要である。また、税額計算に僅少な誤差があっても、犯則事実の同一性に影響しない限り、公訴提起の訴訟条件は欠けない。
問題の所在(論点)
国税犯則取締法に基づく通告処分において、犯則事実をどの程度詳細に記載すべきか。また、税額計算に誤差がある場合、その後の告発および公訴提起の効力に影響を及ぼすか。
規範
間接国税犯則事件における収税官吏の通告処分は、犯則者に対し金銭的負担を通告する手続であり、納付の理由(犯則事実、適用法条等)が明示されれば足りる。したがって、犯則事実が具体的に示されている以上、物品名、販売日時、場所、相手方、価格等を個別詳細に明示することまでは要しない。また、通告にかかる計算に一部誤差があっても、それが僅少であり、犯則事実の同一性に影響を及ぼさない限り、当該通告及び告発に基づく公訴提起は適法である。
重要事実
間接国税犯則事件において、国税局長等が被告人に対し、罰金相当額等の納付を求める通告処分を行った。これに対し被告人側は、通告書において犯則事実となる物品名や販売の日時、場所、相手方、価格等が詳細に特定されていないこと、および課税標準額や逋脱税額の計算に一部誤差があることを理由に、通告処分および告発は違憲・違法であり、本件公訴提起は訴訟条件を欠くと主張して争った。
あてはめ
本件通告書には犯則事実が具体的に示されており、個別の販売日時や相手方等を詳細に列挙しなくとも、納付すべき理由の明示として必要十分である。また、被告人が指摘する課税標準額や逋脱税額の計算誤差は僅少なものであり、通告の対象となった犯則事実の一部に関するものにすぎない。この程度の誤差は、後の告発や公訴事実との同一性を失わせるものではないため、手続上の違法があるとはいえない。
結論
本件通告処分および告発に違法はなく、公訴提起の訴訟条件を欠くこともない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
国税犯則事件における通告処分の記載事項の程度および、軽微な計算誤りが公訴の適法性に影響しないことを示した。答案上は、租税刑罰手続における適正手続(憲法31条)の具体化として、行政手続の瑕疵が刑事訴訟の適法性に及ぼす影響を論じる際の基準となる。
事件番号: 昭和37(あ)1736 / 裁判年月日: 昭和39年11月25日 / 結論: 棄却
国税犯則取締法第一五条は、憲法第三一条、同第一四条に違反しない。