旧物品税法第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人又は人に対する公訴時効は、その法人又は人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年の期間を経過することによつて完成する。
旧物品税法第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人又は人に対する公訴時効。
物品税法(昭和26年法律77号、78号による改正後の昭和15年法律40号)22条,物品税法(昭和26年法律77号、78号による改正後の昭和15年法律40号)18条1項,刑訴法250条5号,刑訴法253条,刑訴法411条1号
判旨
両罰規定により法人が処罰される場合における公訴時効の期間は、行為者に対する法定刑ではなく、法人に対して適用される罰金刑を基準として決定される。
問題の所在(論点)
両罰規定に基づき法人の刑事責任を追及する場合において、公訴時効の期間(刑事訴訟法250条)を決定する基準は、行為者に適用される法定刑(懲役刑等)か、それとも法人に適用される罰金刑か。
規範
両罰規定により法人を処罰する場合、公訴時効の期間は、法人の行為について同規定が定める刑(罰金刑)を基準に、刑事訴訟法250条各号の区分に従って決定される。
重要事実
家具製造販売等を営む被告人会社は、その代表取締役が行った業務に関し、昭和26年9月から昭和28年10月までの間、物品税の逋脱またはその図った罪(物品税法違反)を犯した。昭和29年5月5日に被告会社宛に通告処分がなされ、公訴時効が中断したが、その後の公訴提起は昭和32年11月4日であった。第1審および原審は、法人に対する時効期間を行為者の処罰基準に従って判断し、公訴を有効とした。
あてはめ
本件における法人の処罰根拠は物品税法の両罰規定にある。法人に科される刑は罰金刑であるため、刑事訴訟法250条5号により公訴時効期間は3年となる。記録上、昭和29年5月5日の通告処分により時効が中断された事実は認められるものの、公訴提起がなされた昭和32年11月4日時点では、中断後の再進行から既に3年を経過している。したがって、本件公訴は公訴時効完成後に提起されたものといえる。
結論
被告人会社に対する公訴は、時効完成後に提起されたものであるため、刑事訴訟法337条4号に基づき免訴すべきである。
実務上の射程
法人の刑事責任が問われる事案において、行為者に懲役刑の選択肢があっても、法人については罰金刑のみが規定されている場合、法人の時効期間は短くなる(本判決当時は3年)。答案上は、両罰規定の性質(独立責任か代位責任か等)を問わず、訴追の適法性を判断する入口として時効期間の基準を明示する際に用いる。
事件番号: 昭和33(あ)559 / 裁判年月日: 昭和37年3月6日 / 結論: 破棄差戻
物品税法第二二条にいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する公訴時効は、刑訴第二五〇条第五号により時効期間はその法人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年であり、その起算点は同法第二五三条第一項により右物品税法第一八条第一項の違反行為が終つた時と解するのを正当とする。