取引高税法(昭和二三年法律第一〇八号)第四八条第一項のいわゆる両罰規定における事業主たる法人または人に対する公訴時効は、その法人または人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年の期間を経過することによつて完成する。
取引高税法(昭和二三年法律第一〇八号)第四八条第一項のいわゆる両罰規定における事業主たる法人または人に対する公訴時効。
取引高税法(昭和23年法律108号昭和24年法律43号による改正前のもの)48条1項,取引高税法(昭和23年法律108号昭和24年法律43号による改正前のもの)41条1項1号,取引高税法(昭和23年法律108号昭和24年法律43号による改正前のもの)42条,取引高税法(昭和23年法律108号昭和24年法律43号による改正前のもの)13条1項,取引高税法(右改正後のもの)48条1項,取引高税法(右改正後のもの)41条1項3号,刑訴法250条5号,刑訴法252条,刑訴法253条
判旨
両罰規定により法人に罰金刑を科す場合、その公訴時効期間は法人自身の法定刑(罰金刑)を基準に決定される。行為者本人の法定刑が懲役刑を含んでいても、法人の時効期間には影響しない。
問題の所在(論点)
両罰規定に基づき事業主たる法人を処罰する場合において、その公訴時効の期間は、行為者本人の法定刑を基準とすべきか、それとも法人に適用される罰金刑を基準とすべきか。
規範
両罰規定による法人の刑事責任は行為者とは別個の刑事責任であり、その法定刑は罰金刑である。したがって、特別の規定がない限り、公訴時効の期間は、法人に対して科すべき罰金刑を基準として刑事訴訟法250条各号(現行法準拠では金額等に応じた各号)を適用して定めるべきである。これは罪刑法定主義の要請にも適合する。
重要事実
被告会社の従業者Aは、昭和23年12月から昭和24年6月にかけて取引高税法違反行為を行った。これに対し、被告会社への公訴提起は昭和28年1月29日になされた。当時の取引高税法48条1項は、行為者を罰するほか法人に罰金刑を科す両罰規定を置いていた。検察側は、行為者Aの法定刑(懲役刑含む)を基準とすれば時効未完成であると主張したが、法人自身の罰金刑を基準とした場合の時効期間(当時は3年)は経過していた。
あてはめ
取引高税法48条1項(両罰規定)により、法人は行為者の責任とは別個の独立した刑事責任を負う。法人に科される刑は罰金刑に限定されている。共犯規定の準用や行為者への随伴性を理由に時効期間を画一化する特別の規定がない以上、法人の時効期間は、法人自らの法定刑である罰金刑に対応する刑事訴訟法250条5号(当時)の3年と解すべきである。本件では通告処分による中断を経ても、公訴提起までに3年を経過しているため、時効は完成している。
結論
被告会社に対する公訴時効は完成しているため、免訴を言い渡すべきである。
実務上の射程
両罰規定における事業主の時効期間を画一的に判断する指針。答案上、行為者の刑罰(懲役・禁錮)を基準に法人を重く扱う主張を否定し、罪刑法定主義の観点から法人独自の法定刑(通常は罰金)に基づき時効を計算すべき局面で活用する。
事件番号: 昭和33(あ)559 / 裁判年月日: 昭和37年3月6日 / 結論: 破棄差戻
物品税法第二二条にいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する公訴時効は、刑訴第二五〇条第五号により時効期間はその法人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年であり、その起算点は同法第二五三条第一項により右物品税法第一八条第一項の違反行為が終つた時と解するのを正当とする。