旧物品税法第二二条(昭和二四年法律第二八六号による改正前のもの)のいわゆる両罰規定における事業主としての法人または人に対する公訴時効は、その法人または人に対する法定刑である罰金刑につき定められた三年の期間を経過することによつて完成する。
旧物品税法第二二条(昭和二四年法律第二八六号による改正前のもの)のいわゆる両罰規定における事業主としての法人または人に対する公訴時効
物品税法(昭和24年法律第286号による改正前のもの)22条,物品税法(昭和24年法律第286号による改正前のもの)18条,刑訴法250条5号,刑訴法253条
判旨
両罰規定により事業主である個人に対して科される罰金刑の公訴時効は、従業者に対する時効期間ではなく、事業主自身に適用される法定刑に基づき決定される。
問題の所在(論点)
両罰規定に基づき事業主が処罰される場合において、公訴時効の期間を「従業員が行った実行行為の法定刑」と「事業主に科される罰金刑」のどちらを基準に決定すべきか。また、その期間を経過した後の公訴提起の効力が問題となる。
規範
両罰規定に基づき事業主(法人または個人)に罰金刑を科す場合、公訴時効の期間は、刑法及び刑事訴訟法(本件当時は刑訴法250条5号)の定めに従い、その事業主に対して直接適用される法定刑(罰金刑)を基準として算出される。
重要事実
被告人の従業員らは、被告人の業務に関して昭和22年1月から3月にかけて化粧品の移出販売を行った際、物品税の課税標準を過少に申告して物品税を逋脱した。これに対し、同年7月16日に被告人宛の通告処分がなされ公訴時効が中断したが、その後約4年が経過した昭和26年7月23日に至って本件公訴が提起された。当時の物品税法22条(両罰規定)により被告人が責任を問われた事案である。
あてはめ
本件における事業主としての被告人に対する法定刑は罰金刑である。当時の刑事訴訟法250条5号によれば、罰金刑にあたる罪の公訴時効期間は3年である。本件では昭和22年7月の通告処分による時効中断後、公訴提起までに約4年が経過している。したがって、従業者に対する時効期間がどうあれ、被告人自身に対する公訴時効は、その法定刑に照らして3年の経過により完成しているといえる。
結論
被告人に対する公訴時効は完成しているため、刑事訴訟法337条4号に基づき、被告人を免訴すべきである。
実務上の射程
両罰規定における事業主の処罰は、従業者とは独立した独自の時効期間を持つことを示した判例である。答案上では、両罰規定の性質が「無過失責任」ではなく「事業主の選任監督上の過失」を根拠とする独立の責任であることと整合的に説明する際に有用である。
事件番号: 昭和30(あ)2705 / 裁判年月日: 昭和36年7月25日 / 結論: その他
物品税法(昭和二五年法律第二八六号による改正前のもの)第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人又は人に対する公訴時効は、その法人又は人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年の期間を経過することによつて完成する。