物品税法(昭和二五年法律第二八六号による改正前のもの)第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人又は人に対する公訴時効は、その法人又は人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年の期間を経過することによつて完成する。
物品税法(昭和二五年法律第二八六号による改正前のもの)第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人又は人に対する公訴時効。
物品税法(昭和25年法律286号による改正前のもの)22条,物品税法(昭和25年法律286号による改正前のもの)18条1項,物品税法(昭和25年法律286号による改正前のもの)18条2号,刑訴法250条5号,刑訴法253条
判旨
両罰規定により法人が負う刑事責任は、行為者の責任とは別個の独立した責任であるため、法人に対する公訴時効期間は、法人に対する法定刑である罰金刑を基準に決定される。
問題の所在(論点)
両罰規定により法人に罰金刑を科す場合において、法人に対する公訴時効の期間は、行為者の法定刑(懲役・罰金)と法人の法定刑(罰金)のいずれを基準に決定すべきか。刑事訴訟法250条の適用に関連して問題となる。
規範
両罰規定に基づき事業主たる法人等が負う刑事責任は、行為者である代表者等の刑事責任とは別個の刑事責任である。したがって、法人に対する公訴時効期間については、行為者に科される刑(懲役等)にかかわらず、法人に科されるべき法定刑(罰金刑)を基準として刑事訴訟法250条各号を適用し、時効期間を定めるべきである。
重要事実
被告会社の代表者及び従業員が、昭和25年7月から12月までの間、物品税法違反(脱税)の行為を行った。当該行為には両罰規定の適用があり、行為者には懲役または罰金が、被告会社には罰金刑が科されるべきものであった。検察官は、違反行為の終了から3年以上が経過した昭和29年12月28日に、被告会社に対して公訴を提起した。原審は、法人に対する公訴時効が完成していないものとして処理したため、上告審でその是非が争われた。
あてはめ
本件物品税法22条の両罰規定は、法人に別個の刑事責任を負わせるものであり、罰金刑を科す際の適用罰条は同法18条1項の罰金刑部分である。刑事訴訟法250条に「行為者の刑により期間を定める」旨の特段の規定がない以上、法人に対する公訴時効は、法人に対する法定刑である罰金刑に基づき、同条5号により3年と解するのが正当である。本件では、違反行為終了(昭和25年12月)から起訴(昭和29年12月)までに3年以上が経過しているため、被告会社に対する公訴時効は完成しているといえる。
結論
被告会社に対する公訴時効期間は、法人に対する罰金刑を基準とした3年(刑訴法250条5号)であり、本件公訴は時効完成後に提起されたものである。よって、免訴の言渡しをすべきである。
実務上の射程
法人の処罰に関しては、過失推定説(判例)に基づき法人の独自の責任が認められることと整合し、時効も法人自身の法定刑を基準とする。答案上は、両罰規定の法的性質を「独立責任」と捉える文脈から導くと論理的である。なお、現行の刑事訴訟法250条は改正されているが、判断枠組み自体は維持されている。
事件番号: 昭和33(あ)559 / 裁判年月日: 昭和37年3月6日 / 結論: 破棄差戻
物品税法第二二条にいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する公訴時効は、刑訴第二五〇条第五号により時効期間はその法人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年であり、その起算点は同法第二五三条第一項により右物品税法第一八条第一項の違反行為が終つた時と解するのを正当とする。