物品税法第二二条にいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する公訴時効は、刑訴第二五〇条第五号により時効期間はその法人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年であり、その起算点は同法第二五三条第一項により右物品税法第一八条第一項の違反行為が終つた時と解するのを正当とする。
物品税法第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する公訴時効
物品税法22条,物品税法18条1項(昭和28年法律41号による改正前のもの),刑訴法250条5号,刑訴法253条1項
判旨
両罰規定により法人が処罰される場合、法人に対する公訴時効期間は法人自身の法定刑(罰金刑)を基準に決定されるべきであり、行為者の懲役刑を基準とすることはできない。
問題の所在(論点)
両罰規定によって法人が処罰される場合において、法人に対する公訴時効の期間を算定するための基準となる法定刑は、行為者の受ける懲役刑か、それとも法人自身が受ける罰金刑か。
規範
両罰規定に基づき事業主たる法人を処罰する場合、法人に対する公訴時効期間は、刑事訴訟法250条の規定に従い、当該法人に対する法定刑(罰金刑)を基準として定める。また、その起算点は、刑事訴訟法253条1項により、現実に違反行為が終了した時と解する。
重要事実
被告会社の代表取締役および社員が、昭和28年2月から4月にかけて物品税法違反の行為を行った。本件では、行為者に対する法定刑には懲役刑が含まれる一方、両罰規定により被告会社に科されるのは罰金刑であった。昭和32年3月7日に公訴が提起されたが、原審は行為者の懲役刑を基準として時効期間を5年(刑訴法250条4号)と判断し、公訴時効は完成していないとした。
あてはめ
刑事訴訟法250条は、各刑名に対応して時効期間を定めている。本件物品税法の両罰規定において、被告会社に対する法定刑は罰金刑であるから、刑訴法250条5号により時効期間は3年となる。公訴提起は昭和32年3月であり、行為終了時である昭和28年4月から3年を経過しているため、特段の時効中断事由がない限り、公訴時効は完成しているといえる。原審が行為者の懲役刑を基準に5年としたのは、法令の解釈適用の誤りである。
結論
法人に対する公訴時効期間は法人に科される罰金刑を基準とすべきであり、本件では3年である。原判決を破棄し、時効中断の有無を確認するため審理を差し戻す。
実務上の射程
法人処罰の独立性を重視する立場から、公訴時効も法人自身の刑罰に基づいて個別的に判断することを明示した。答案上、両罰規定の法的性格(過失責任説等)と関連付けて、手続法上の帰結を論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)2705 / 裁判年月日: 昭和36年7月25日 / 結論: その他
物品税法(昭和二五年法律第二八六号による改正前のもの)第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人又は人に対する公訴時効は、その法人又は人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年の期間を経過することによつて完成する。