判旨
法律の改正により行為後の罰則が廃止された場合であっても、改正法附則において施行前の行為につき従前の例による旨の経過規定があるときは、刑法6条及び刑訴法337条2号(免訴)は適用されない。
問題の所在(論点)
法律の改正により罰則の対象外となった場合、刑法6条(刑の変更)や刑訴法337条2号(免訴)が適用されるか。特に、新法に「従前の例による」旨の経過規定がある場合の効力が問題となる。
規範
法律の変更により犯罪後の刑が廃止された場合、原則として刑法6条により軽い刑が適用され、刑訴法337条2号に基づき免訴となる。しかし、新法の附則に「この法律の施行前にした行為に関する罰則の適用については、なお従前の例による」との経過規定が置かれている場合には、当該規定が優先され、旧法に基づき処罰される。
重要事実
被告人はメリヤス類に関する課税に関連して起訴されたが、その後、当該物品を課税対象から削除する法律改正がなされた。弁護人は、これが「刑の廃止」に該当するとして、刑の変更廃止を理由に上告を申し立てた。なお、当該改正法の附則8項には、施行前の行為に関する罰則適用については従前の例による旨の規定が存在した。
あてはめ
本件において、改正法附則8項は、施行前の行為に関する罰則の適用について「なお従前の例による」と明示している。この場合、立法者は当該行為については改正後も旧法の罰則を維持する意思を有しているといえる。したがって、実質的に刑の廃止があったとは認められず、刑法6条及び刑訴法337条を適用して刑を免除したり免訴としたりする余地はない。
結論
附則に経過規定がある以上、刑の変更・廃止による免訴等は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
限時法や法改正に伴う経過措置の有効性を認める重要な判例である。答案上では、法改正があった際に直ちに刑法6条を持ち出すのではなく、まずは改正法の附則に経過規定(従前の例による旨)がないかを確認し、あれば本判例を根拠に旧法の適用を肯定する論理構成をとる。
事件番号: 昭和28(あ)5373 / 裁判年月日: 昭和30年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑罰規定が廃止された場合であっても、法律の附則に「この法律の施行前にした行為に関する罰則の適用については、なお従前の例による」との経過規定があるときは、刑訴法337条2号の「刑の廃止」には該当しない。 第1 事案の概要:被告人は、取引高税法(昭和23年法律第108号)違反の罪に問われていたが、同法…