判旨
酒税法違反の罪が複数回にわたって行われた場合、それらが包括一罪を構成するか、あるいは併合罪(刑法45条前段)となるかが争点となり、本判決はこれを併合罪と解した原判決を正当とした。
問題の所在(論点)
酒税法違反に該当する複数の行為が、包括一罪となるか、それとも刑法45条前段の併合罪となるか。
規範
数個の犯罪行為が、それぞれ独立した構成要件に該当し、時間的・場所的に連続している場合であっても、各行為が別個の意思決定に基づき、独立した法益侵害を有すると認められる場合には、刑法45条前段の併合罪として扱うべきである。
重要事実
被告人は、判示第一の一から四までに示された通り、複数回にわたり酒税法に違反する行為を行った。弁護人は、これらの行為が包括して一つの罪(包括一罪)を構成すると主張して上告したが、原判決はこれらを併合罪の関係に立つものと判断していた。
あてはめ
判決文には具体的な事実関係の詳細(各行為の日時や場所等)は明記されていないが、最高裁は「原判決が判示所為を併合罪の関係に立つものと判断したことは正当である」と判示した。これは、各酒税法違反行為が個別の機会に行われ、それぞれが独立した犯罪としての評価を免れないことを前提に、包括一罪としての密接な関連性を否定したものと解される。
結論
被告人の酒税法違反の各所為は、包括一罪ではなく、併合罪の関係に立つ。
実務上の射程
同一構成要件に該当する行為が反復された場合、営業犯のように一括して評価すべき特段の事情がない限り、原則通り併合罪として処理すべきであることを示唆する。答案上は、罪数決定において「包括一罪」の主張を排斥し、併合罪とする際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)2659 / 裁判年月日: 昭和29年12月21日 / 結論: 棄却
本件のように仕込の時期と場所とを異にするような酒類製造はこれを併合罪と見るべきものである(昭和二七年(あ)四九七五号同二八年四月二一日第三小法廷決定)。またその譲渡行為は仮に日時が近接し、相手方が同一であるからといつて常に包括一罪になるわけではない。なお右の論旨は控訴審の主張、判断を受けていないものであつて、すべて上告…