判旨
酒税法違反の罪等について併合罪の規定を適用した原判決の判断を正当とし、同法に基づく徴税規定の違憲主張についても、原判決が当該規定を適用していないことを理由に上告を棄却した。
問題の所在(論点)
1. 複数の犯罪事実に対し刑法45条(併合罪)を適用した原判決の適否。2. 原判決で適用されていない規定(酒税法60条5項)の違憲主張が適法な上告理由(刑事訴訟法405条)となるか。
規範
上告趣意において憲法違反が主張されたとしても、原判決が当該規定を適用していない場合には、実効的な判断の必要性を欠くため、適法な上告理由にはあたらない。また、刑法上の併合罪の規定の適用については、原判決の判断に法的な誤りがない限り正当として維持される。
重要事実
被告人が酒税法違反等の罪に問われた事案において、第一審および控訴審は被告人の行為を併合罪として処断した。これに対し弁護人は、併合罪の規定の適用に誤りがあること、および酒税法60条5項(徴税に関する規定)が憲法に違反するものであることを理由に上告を申し立てた。なお、控訴審判決において酒税法60条5項は実際に適用されていなかった。
あてはめ
1. 併合罪の適用について:原判決が本件の各罪に対し併合罪の規定を適用したのは、事実関係および刑法の解釈に照らして正当である。2. 違憲主張について:被告側は酒税法60条5項の違憲性を主張するが、原判決は同条項を適用して被告人を処罰したり不利益を課したりしているわけではない。したがって、適用がない規定の違憲を論じることは、判決の結論に影響を及ぼさない不適法な主張といえる。
結論
本件上告は棄却される。原判決が併合罪を適用したのは正当であり、また原判決が適用していない規定についての違憲主張は適法な上告理由に当たらない。
実務上の射程
具体的な事件において適用されていない法令の違憲を主張しても、上告理由としては認められないという「適用のない法令の違憲主張」の排斥理論を示す。答案上は、法令の違憲性を争う前提として、その法令が当該事案(原判決)において現に適用され、結論を左右している必要があることを説明する際に活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)5229 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由として、判例違反を主張する場合にはその判例を具体的に示す必要があり、単なる訴訟法違反や量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、第一審判決に対し、判例違反、量刑不当、および手続違背等を理由として上告を申し立てた。しかし、判例違反を主張する…