判旨
被告人の不利益になるような主張を上告理由とすることは、上告制度の趣旨に反し不適法である。
問題の所在(論点)
被告人の弁護人が、原判決よりも被告人に不利益な法的構成(併合罪への変更)を主張することが、有効な上告理由として認められるか。
規範
上告趣意において、原判決が被告人に有利に判断した点(包括一罪の認定等)を否定し、より重い法的評価(併合罪等)を求める主張は、不利益な主張に帰するため、上告理由として不適法である。
重要事実
被告人両名について、原判決が包括一罪として認定した事実に対し、弁護人が上告理由において「これらは併合罪である」として判例違反を主張した事案である。
あてはめ
弁護人の主張によれば、原判決が包括一罪と認めたものを併合罪とすべきであるという。しかし、併合罪として処断されることは被告人にとって不利益な法的評価を求めることに他ならない。このような不利益な主張は、上告による救済を求める制度の本旨に照らし、論旨自体において不適法といえる。
結論
本件上告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告理由の適格性、特に「不利益な主張」の禁止を端的に示したものである。答案上は、罪数評価等において被告人に有利な原判決を争う弁護人の主張が適法性を欠くことを指摘する際に参照される。
事件番号: 昭和25(あ)2638 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に不利益な法令違反の主張は、刑訴法405条所定の上告理由に当たらない。また、併合罪とすべきものを包括一罪として処断したことは、被告人の利益になるものであり、刑訴法411条を適用して職権で破棄すべき事由にも該当しない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪について、第一審判決は包括一罪として処断…