所論A及びBの共犯関係についての原判決の説示は所論の事実ありと仮定して無用の説明をなしたに過ぎないものであるからこの点を捉えて云為する論旨(註、共犯関係については何らの証拠がないから憲法一一条に違反するとする事を指す)は原判決を破棄する理由となすに足りない。
認定事実に関係なき事項について無用の説示をした判決の適否
憲法11条,刑訴法411条,刑訴法396条,刑訴規則246条
判旨
被告人以外の者の権利を主張して原判決を非難することは、適法な上告理由には当たらない。また、原判決が事実誤認の有無を判断するにあたり、予備的・仮定的に示した判断は、結論に影響を及ぼさない無用の説明に過ぎず、破棄理由とはならない。
問題の所在(論点)
被告人以外の者の不利益を理由として上告を申し立てることが認められるか。また、判決の結論に影響しない仮定的な説示の誤りが、上告理由(判決を破棄すべき理由)となるか。
規範
上告審において、被告人以外の第三者(共犯者等)の不利益を理由に原判決を非難することは、上告理由として認められない。また、判決の結論に影響を及ぼさない付随的・仮定的な説示における誤りは、判決に影響を及ぼすべき法令違反や事実誤認(刑訴法405条等)には該当しない。
重要事実
被告人が上告を提起した際、弁護人は、共犯者とされるAおよびBの共犯関係に関する原判決の説示に誤りがあると主張した。また、原判決がAおよびBに対して有罪を言い渡したかのような形式で、本人ら以外の者の利益に関わる不服を申し立てた。
あてはめ
本件において、原判決は第一審の証拠に基づき事実を認定しており、その判断は正当である。弁護人が指摘する共犯関係に関する説示は、事実があると仮定して行われた無用な説明に過ぎず、結論を左右するものではない。さらに、本件上告はAおよびBに対する被告事件についてなされたものではなく、被告人以外の者のために原判決を非難することは、上告理由として適法性を欠くといえる。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
上告審における「上告趣意」の適格性を判断する際の指針となる。特に、判決理由中の不必要な仮定的判示を捉えた攻撃や、自己の権利・利益に関わらない第三者の地位に関する主張が、いずれも不適法な上告理由として排除されることを示した実務上重要な判断である。
事件番号: 昭和27(あ)3742 / 裁判年月日: 昭和28年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審で主張されず、その判断を経ていない事項についての事実誤認や訴訟法違反の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てた際、弁護人が上告趣意書において事実誤認および訴訟法違反を主張したが、これらの事項は第一審または控訴審の審理過程で主張されたもので…