判旨
原審で主張も判断もされていない事項を新たに上告理由とすることは不適法であり、事実誤認や量刑不当の主張は適法な上告理由に該当しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における上告理由の適格性、特に原審で判断されていない事項の主張および事実誤認・量刑不当の主張が適法な上告理由となるか。
規範
上告審は事後審としての性質を有することから、原審において主張も判断もなされていない事項を新たに主張することは許されない。また、刑事訴訟法上の適法な上告理由(憲法違反、判例違反等)に該当しない事実誤認や量刑不当の主張は、上告理由として不適法である。
重要事実
被告人が焼酎の密造未遂罪で処罰された事案において、弁護人が上告を提起した。弁護人は、(1)原審で主張・判断されていない事項、(2)事実誤認および訴訟法違反、(3)量刑不当を上告の理由として主張した。
あてはめ
弁護人の主張のうち、第一点は原審で全く主張も判断もされていない事項であり、事後審の構造に反するため不適法である。第二点の事実誤認および単なる訴訟法違反の主張、並びに第三点の量刑不当の主張は、いずれも刑事訴訟法が限定する上告理由に含まれない。また、記録を精査しても職権で判決を破棄すべき事由(刑訴法411条)は認められない。
結論
本件上告は不適法であるため、刑事訴訟法414条、386条1項3号により棄却される。
実務上の射程
上告理由の制限に関する極めて基礎的な判例である。司法試験の答案上は、特別抗告や再審など他の救済手段との比較において、上告が厳格に限定された法的理由に基づくものであることを論証する際に言及し得るが、本判決自体が深い規範を示すものではないため、実務上の一般原則を確認するに留まる。
事件番号: 昭和26(あ)2761 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人側が主張する差別待遇や押収手続の違憲性は、前提となる事実が認められない場合には上告理由に当たらない。また、刑罰の減軽を求める量刑不当の主張は、刑訴法405条所定の上告理由を構成しない。 第1 事案の概要:被告人らは、差別待遇による憲法違反、押収物品目録の違法を前提とする違憲、心神耗弱の判断遺…