判旨
事実審の証拠の取捨判断に対する不服を憲法違反と称して主張することや、量刑不当を主張することは、いずれも適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
事実認定の是非を憲法違反という名目で主張すること、および単なる量刑不当の主張が、刑事訴訟法上の適法な上告理由(特に上告審における審判対象)となるか。
規範
上告審において憲法違反を主張する場合であっても、その実質が事実審たる原審の証拠の取捨判断(事実認定)を攻撃するものであるときは、適法な上告理由とはならない。また、量刑不当の主張も、適法な上告理由を制限する刑事訴訟法の規定に照らし、正当な上告理由として認められない。
重要事実
被告人側が、原審の証拠取捨選択および量刑の不当を不服として上告した。その際、上告趣旨の第一点として憲法違反の語を用いて原審の判断を攻撃し、第二点として量刑の不当を主張した。
あてはめ
弁護人が主張する憲法違反の点は、その実質において事実認定の基礎となる証拠の取捨判断を攻撃するものに過ぎない。これは法律上の論点ではなく事実誤認の主張に帰するものである。また、量刑不当の主張についても刑事訴訟法405条等の上告理由に該当しない事項である。したがって、これらはいずれも刑事訴訟法408条により判決をもって上告を棄却すべき事由にあたる。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くものとして棄却される。
実務上の射程
本判決は、刑事上告審における形式的な上告理由の峻別を示すものである。答案上では、憲法違反や重大な判例違反を理由とする上告において、その実質が単なる事実誤認や量刑不当の主張に止まる場合には適法な理由にならないことを説明する際の根拠となる。
事件番号: 昭和27(あ)5031 / 裁判年月日: 昭和29年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原審で主張・判断されていない憲法違反等の事項を新たに主張することは、適法な上告理由とは認められない。また、単なる法令違反や事実誤認、量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人側は、原審(控訴審)の判断に対し、憲法32条違反、憲法31条…