判旨
上告趣意において原審で主張・判断のない事項を主張することは刑事訴訟法405条の上告理由として不適法であり、また少年法にいう「少年」に該当するか否かは起訴当時の基準により判断される。
問題の所在(論点)
1. 原審で主張・判断されていない事項を上告理由とすることの可否。2. 少年法の適用対象となる「少年」の該否を判断すべき基準時。
規範
1. 刑事訴訟法405条の上告理由として認められるためには、原則として原審において主張・判断されている事項であることを要する。2. 少年法上の手続適用の有無(同法68条等)を判断する基準時は、起訴当時の年齢による。
重要事実
被告人両名の弁護人が上告を申し立てたが、その趣意は原審において主張も判断もされていない事項であった。また、被告人らが少年法に規定される「少年」に該当するかどうかが争点となったが、記録上、起訴当時には既に少年法上の少年に当たらないことが明らかであった。
あてはめ
1. 弁護人が主張する事項は、原審での主張・判断を経ていないため、刑事訴訟法405条の適法な上告理由に当たらない。2. 被告人らの年齢を確認すると、少年法68条1項の趣旨に照らし、本件起訴当時において既に同法にいう少年に該当しないことは記録上明らかである。したがって、少年法所定の特則を適用すべき事由は認められない。
結論
本件各上告は不適法として棄却される。被告人らは起訴当時「少年」ではないため、少年法による保護の対象とならない。
実務上の射程
刑事手続における上告審の事後審的性格を確認する際や、少年法の適用対象(基準時)を論ずる際の根拠となる。特に実務上、少年法の適用は「起訴時」を基準とすることを明示している点に意義がある。
事件番号: 昭和25(あ)2121 / 裁判年月日: 昭和26年3月27日 / 結論: 棄却
所論の点はいずれも、原審において控訴趣意として主張されなかつた事項であり、また刑訴第三九二条二項は同条項所定の事由に関し控訴審に職権調査の義務を課したものではないから、原判決はこれらの点についてなんら判断を示していないのである。従つてこのような事項につき、単純に原判決の法令違反を主張することはもちろん、これを判例違反と…
事件番号: 昭和30(あ)2234 / 裁判年月日: 昭和30年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が事実誤認の主張にすぎず、原判決に判例違反等の適法な上告理由が認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人本人が事実誤認を主張し、弁護人が判例違反を主張して上告を申し立てた。しかし、記録上、原判決が所論の判例に反する判断を示した事実は確認できなかった。 …
事件番号: 昭和26(あ)476 / 裁判年月日: 昭和27年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない主張や単なる訴訟法違反の主張は、刑訴法405条の上告理由には該当せず、特段の事情がない限り棄却される。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が、原判決に判例違反および訴訟法違反があるとして上告を申し立てた。しかし、その判例違反の主張は、原判決が実際には判断を下していない事項を前提と…