判旨
刑法200条(旧規定)における配偶者の直系尊属を殺害した場合の尊属殺人罪の規定は、憲法14条の法の下の平等に違反せず合憲である。
問題の所在(論点)
旧刑法200条(尊属殺人罪)のうち、配偶者の直系尊属を殺害した者を死刑または無期懲役に処すとする規定は、憲法14条1項の「法の下の平等」に違反し無効となるか。
規範
特定の親族関係に基づく刑の加重規定は、それが合理的根拠に基づく差別である限り、憲法14条1項の法の下の平等に反しない。
重要事実
被告人が配偶者の直系尊属を殺害した事案において、第一審および控訴審は、旧刑法200条の尊属殺人罪を適用して処断した。弁護人は、尊属殺人罪の規定が憲法14条に違反し無効であること、および原判決が最高裁判例に拘束されて自主的な判断を欠いていることを理由に上告した。
あてはめ
最高裁判所は、過去の大法廷判決(昭和25年10月25日および同年10月11日)を引用し、尊属殺人の加重規定が合憲であるとの判断を維持した。原判決がこの判例の趣旨と同一の見解を採り、被告人の違憲の主張を退けたことは正当な法令の解釈・適用であるとされる。具体的にどのような合理的根拠に基づくかについての詳細は本判決文からは不明であるが、先行判決を「徴し明らか」としてそのまま適用した。
結論
旧刑法200条の規定は憲法14条に違反せず、同条を適用した原判決に違憲の違法はない。したがって、本件上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、後に尊属殺人罪を違憲とした最大判昭48.4.4(尊属殺人被告事件)により事実上変更されている。現在では、尊属であることを理由に刑を著しく加重し、死刑または無期懲役のみに限定することは、目的と手段の関係において合理性を欠き違憲とされる。答案上では、尊属殺人規定の合憲性が肯定されていた初期の判断枠組みとして位置づけられる。
事件番号: 昭和44(あ)916 / 裁判年月日: 昭和48年4月4日 / 結論: 破棄自判
刑法二〇〇条は、憲法一四条一項に違反する。
事件番号: 昭和28(あ)1126 / 裁判年月日: 昭和32年2月20日 / 結論: 破棄差戻
刑法第二〇〇条にいわゆる配偶者の直系尊属とは、現に生存する配偶者の直系尊属を指すものと解するを相当とする。