判旨
勾留手続に違法があったとしても、そのことが当然に公訴提起やその後の審判手続の効力に影響を及ぼし、これらを違法とするものではない。
問題の所在(論点)
捜査段階における勾留手続の違法が、その後の公訴提起(刑訴法247条)および審判手続の効力に影響を及ぼすか。
規範
逮捕・勾留等の強制処分(捜査手続)に違法があったとしても、その違法は原則として当該処分自体の効力にとどまる。独立した手続である公訴提起(起訴)やその後の審判手続の効力が当然に否定されるものではない。
重要事実
被告人が起訴された当時、既に成年に達していたことが記録上明らかであった事案。弁護人は上告趣意において、被告人に対する勾留手続に違法があった旨を主張し、起訴や審判手続の適法性を争った。
あてはめ
仮に被告人に対する勾留手続に違法な点があったとしても、それは起訴前の先行手続における瑕疵にすぎない。公訴提起およびその後の審判手続は別個の手続であり、勾留の違法が直ちにこれらの手続の違法を来す(無効とする)ものとは解されない。
結論
勾留手続の違法は、本件起訴およびその後の審判手続の違法を来すものではないため、上告を棄却する。
実務上の射程
「違法収集証拠排除法則」や「公訴棄却(違法な捜査による公訴提起)」の議論とは別に、手続の連鎖的な失当を否定する実務上の基本原則を示す。勾留違法のみを理由とした公訴棄却の主張は、本判例に照らし困難である。
事件番号: 昭和28(あ)637 / 裁判年月日: 昭和29年7月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴因変更手続に関する原判決の判断が、当時の下級審判例の趣旨に沿うものであり、不当ではない場合には、上告理由としての判例違反は認められない。 第1 事案の概要:弁護人が、原判決における訴因変更手続の判断に判例違反があるとして上告を申し立てた事案である。弁護人は東京高等裁判所および大阪高等裁判所の判例…