憲法一四条違反の主張が欠前提で処理された事例
憲法14条
判旨
本件上告を棄却する。
問題の所在(論点)
1. 捜査過程に憲法違反の違法がある場合の自白の証拠能力、および自白の任意性の有無。 2. 前科の存在を事実認定に用いることが憲法14条の法の下の平等に反するか。
規範
自白の証拠能力(憲法38条、刑訴法319条1項)について、捜査過程に違法がなく、かつ自白が任意になされたと認められる場合には、その自白を証拠とすることができる。また、前科等の事由が事実認定において差別的に考慮されない限り、憲法14条の法の下の平等に反することはない。
重要事実
被告人および弁護人は、本件捜査過程に憲法31条、33条、38条に違反する違法があること、および被告人の前科を理由に事実認定において差別されたこと(憲法14条違反)等を主張して上告した。しかし、記録によれば捜査過程に所論のような違法は存在せず、被告人の自白は任意になされたものであった。また、原判決が前科を理由に不当な差別的認定を行った事実は認められなかった。
あてはめ
1. 自白の任意性等について:記録に照らすと、本件捜査には憲法31条、33条、38条に違反するような違法な点は認められない。したがって、被告人の自白は任意になされたものと認められ、証拠能力を否定すべき理由はない。 2. 差別的取扱いについて:原判決は被告人に前科があることを理由に事実認定において差別的な取扱いをしたとは認められない。したがって、憲法14条違反の主張は前提を欠く。 3. 上告理由の適格性:その余の主張(憲法19条違反等)は実質的に事実誤認や量刑不当を主張するものであり、適法な上告理由に当たらない。
結論
本件捜査および自白の任意性に問題はなく、原判決に憲法違反等の事由も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
自白の任意性と捜査の適法性を肯定し、かつ前科による不当な差別認定を否定した事例判断であり、刑事訴訟法上の自白排除法則や証拠の評価に関する実務的な判断枠組みを確認するものである。
事件番号: 昭和57(あ)1002 / 裁判年月日: 昭和57年10月29日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和53(あ)2243 / 裁判年月日: 昭和54年9月14日 / 結論: 棄却
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