判例違反の主張が「事案異」とされた事例
判旨
被告人および弁護人が主張する判例違反や憲法違反(11条、31条、37条)は、実質的には事実誤認または単なる法令違反を主張するものにすぎず、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。
問題の所在(論点)
被告人側が主張する判例違反および憲法違反の主張が、刑訴法405条所定の上告理由(憲法違反または判例相反)として適切に構成されているか。
規範
刑事訴訟法405条に基づく上告理由の適格性については、判例違反については当該事案が引用判例と適切に比較し得る同一の事案であることを要し、憲法違反については実質において単なる事実誤認や法令違反に留まるものであってはならない。
重要事実
被告人および弁護人は、下級審の判断に対し、判例違反、憲法11条(基本的人権の享有)、31条(適正手続)、37条1項・2項(刑事被告人の権利)の違反を理由として上告を申し立てた。
あてはめ
所論引用の判例は本件と事案を異にしており、適切に比較し得るものではない。また、憲法違反をいう点についても、その実態は事実誤認や単なる法令違反を主張するものにすぎず、憲法問題としての実質を備えていない。したがって、いずれも適法な上告理由にはあたらないと評価される。
結論
本件上告は棄却される。
実務上の射程
本決定は、形式的に憲法違反や判例違反を標榜していても、その実質が事実誤認等にすぎない場合には上告理由にならないとする実務上の運用を確認するものである。答案作成においては、上告受理の要件を論じる際の否定例として参照されるが、具体的な規範の深化はないため、あてはめの簡潔なモデルとして機能する。
事件番号: 昭和53(あ)1251 / 裁判年月日: 昭和54年7月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件各上告は、判例違反や法令違反、量刑不当を主張するものであるが、実質的には事実誤認や単なる法令違反に留まり、刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:検察官および被告人の弁護人がそれぞれ上告を申し立てた。検察官は判例違反を主張の形式として含んでいたが、その実質は事実誤認…
事件番号: 昭和57(あ)427 / 裁判年月日: 昭和57年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審で主張がなく、判断も示されていない事項に関する憲法違反等の主張は、適法な上告理由に当たらない。また、事実誤認や量刑不当の主張も刑訴法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人側が上告を提起し、その趣意において憲法違反および判例違反を主張した。しかし、これらの事項は原審(控訴審)…