判旨
被告人の供述の任意性が否定される事情が認められない場合、当該供述を証拠として採用することに憲法違反や刑事訴訟法上の違法は存在しない。
問題の所在(論点)
被告人の供述が任意性を欠くにもかかわらず証拠として採用されたことが、憲法違反や刑事訴訟法上の上告理由(405条)に該当するか。
規範
被告人の自白や供述について、その作成過程に不当な強制や誘導等の疑いがある場合には任意性に疑いが生じるが、客観的状況や記録に照らして任意性を欠く形跡が認められない場合には、証拠能力が肯定される。
重要事実
被告人の供述が任意性を欠くものであるとの主張に基づき、憲法違反を理由として上告がなされた事案。
あてはめ
記録を精査しても、被告人の供述が任意性を欠くという形跡は認められない。したがって、弁護人が主張する事由は実質的に単なる事実誤認の主張に帰するものである。
結論
本件供述の任意性に問題はなく、適法に証拠として採用できる。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
任意性のない自白の証拠能力排除に関する基礎的判断を示す。実務上は、任意性を疑わせる具体的な客観的事実の有無を検討し、それがない場合には本判決と同様に証拠能力を肯定する論理構成をとる。
事件番号: 昭和47(あ)1867 / 裁判年月日: 昭和48年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が任意になされたものであるとする原審の判断が相当である以上、憲法38条1項及び2項違反の主張は前提を欠き、不適法な上告理由にとどまる。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、被告人の自白が任意性に欠けるものであるとして、憲法38条1項(自己負罪拒否特権)及び同条2項(自白排除法則)違反、…