判旨
併合罪の関係にある罪の一部について大赦による赦免があった場合、裁判所は当該部分について免訴の判決を言い渡し、残余の罪について刑を再画定すべきである。本判決は、物価統制令違反と贈賄罪の併合罪において、前者が政令により赦免されたことを理由に、原判決を破棄し免訴と有罪の判決を自判した。
問題の所在(論点)
併合罪として一括して処断されている数個の罪のうち、一部についてのみ免訴事由(大赦による赦免)が生じた場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。また、その際、残余の罪の量刑をどのように取り扱うべきかが問題となる。
規範
被告人が複数の罪を犯し、それらが刑法45条前段の併合罪の関係にある場合において、その一部の罪について公訴提起後に大赦(刑事訴訟法337条3号)等の免訴事由が生じたときは、裁判所は当該部分について免訴を言い渡さなければならない。この場合、併合罪加重(刑法47条)の前提となる処断刑の範囲が変化するため、残余の有罪部分については改めて刑を量定し直す必要がある。
重要事実
被告人は、贈賄罪(刑法198条等)および物価統制令違反の罪に問われ、第一審および控訴審において併合罪として処断されていた。しかし、最高裁における上告審の係属中に、昭和27年政令117号(大赦令等)が施行されたことにより、物価統制令違反の罪が赦免の対象となった。弁護人の上告趣意自体は適法な上告理由に当たらないものであったが、最高裁は職権によりこの赦免の事実を調査した。
あてはめ
本件において、物価統制令違反の罪は政令により赦免されているため、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。この結果、第一審および原判決が贈賄罪と物価統制令違反を併合罪として一体の刑を科した判断は、前提となる事実関係の変化(赦免)により維持できなくなった。したがって、刑事訴訟法411条5号(判決後の刑の廃止等)に準じて原判決および第一審判決を破棄した上で、最高裁が自ら、免訴部分と贈賄罪部分を切り離して判示する。贈賄罪については、改めて併合罪加重等の必要性を判断し(本件では贈賄罪内部での併合罪加重)、懲役10年・執行猶予4年の刑を言い渡すのが相当である。
結論
赦免された物価統制令違反については免訴とし、残る贈賄罪については別途、有罪として刑を処する。原判決および第一審判決は破棄を免れない。
事件番号: 昭和25(あ)1916 / 裁判年月日: 昭和27年11月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について政令による大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の罪数関係にある罪については、別途刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令3条違反の罪および刑法198条の贈賄罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた…
実務上の射程
併合罪の一部に免訴事由が生じた場合の処理を示す基本例である。答案上では、一部の罪について刑の廃止や赦免があった場合、単純な一部破棄ではなく、刑の再構成が必要となるため「全部破棄・自判(または差し戻し)」の論理を構成する際の根拠となる。職権調査事項(刑訴法411条各号)との関連でも重要である。
事件番号: 昭和26(あ)4832 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反と詐欺の併合罪について、上告審での職権調査により物価統制令違反に大赦があったことが判明した場合、原判決を破棄し、大赦があった事実について免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反の事実(一審判決認定第一の事実)および刑法246条1項の詐欺の事実(一審判決認…
事件番号: 昭和26(れ)2292 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で当該部分を調査し、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(人造絹織物の不当高価買受・販売)および贈賄の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。上告審継続中に昭和27年政令第117号および第87号により、…
事件番号: 昭和28(れ)30 / 裁判年月日: 昭和28年7月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】併合罪の関係にある複数の罪のうち、一部についてのみ判決後に大赦があった場合、上告審は原判決のうち被告人に関する部分を破棄し、大赦のあった罪については免訴を言い渡し、残余の罪について改めて刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反、窃盗、および横領の事実により、第一審および…
事件番号: 昭和27(あ)3289 / 裁判年月日: 昭和28年3月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】複数の罪が併合罪の関係にある場合において、一部の罪に大赦があったときは、その部分について免訴を言い渡し、残りの罪について刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、詐欺罪(刑法246条1項)および物価統制令違反の罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けた。その後、最高裁判所での上告…