判旨
公訴事実の一部について政令による大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の罪数関係にある罪については、別途刑を科すべきである。
問題の所在(論点)
上告審において公訴事実の一部に政令による大赦があった場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。特に、大赦の対象となった罪とそうでない罪が併存する場合の処理が問題となる。
規範
被告事件について大赦があったときは、判決で免訴の言渡しをしなければならない(刑事訴訟法337条3号)。また、併合罪の関係にある複数の罪のうち、一部に免訴事由がある場合は、当該部分について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を確定させるべきである(同法411条5号、413条但書参照)。
重要事実
被告人は、物価統制令3条違反の罪および刑法198条の贈賄罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた。しかし、上告審係属中に「昭和二十七年政令第百十七号」が施行され、物価統制令違反の事実について大赦がなされた。一方で、贈賄の事案については大赦の対象外であった。
あてはめ
本件公訴事実のうち、物価統制令違反の事実は、昭和27年政令第117号による大赦の対象に含まれる。したがって、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべき事由があるといえる。これに対し、第一審判決が証拠により確定した贈賄の各事案は、大赦の対象にかからない。贈賄罪は刑法198条等に該当し、併合罪(刑法45条前段)の関係にあるため、免訴となる部分を除外した上で、贈賄罪についてのみ罰金刑を選択し合算した範囲で処断すべきである。
結論
原判決及び第一審判決を破棄する。物価統制令違反の事実については免訴とし、贈賄罪については被告人を罰金五千円に処する。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(あ)3021 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の複数の犯罪事実のうち、一部の罪についてのみ大赦があった場合、大赦のあった部分については免訴とし、それ以外の罪については改めて刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人の複数の犯罪事実について第一審及び原判決がなされたが、上告審の継続中に昭和27年政令117号大赦令が公布された。被告…
大赦という特殊な事情に関する判断であるが、答案上は免訴判決の法的性質(形式的確定力により手続を打ち切るもの)や、併合罪の一部に免訴事由がある場合の主文の書き方の参考になる。実務上は、犯罪後の法令により刑が廃止された場合(刑法6条、刑訴法337条2号)と同様の訴訟条件的処理が求められる場面で意識すべき射程を持つ。
事件番号: 昭和26(れ)2292 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で当該部分を調査し、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(人造絹織物の不当高価買受・販売)および贈賄の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。上告審継続中に昭和27年政令第117号および第87号により、…
事件番号: 昭和27(あ)934 / 裁判年月日: 昭和27年12月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】併合罪の関係にある罪の一部について大赦による赦免があった場合、裁判所は当該部分について免訴の判決を言い渡し、残余の罪について刑を再画定すべきである。本判決は、物価統制令違反と贈賄罪の併合罪において、前者が政令により赦免されたことを理由に、原判決を破棄し免訴と有罪の判決を自判した。 第1 事案の概要…
事件番号: 昭和28(れ)15 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後の大赦は免訴事由に該当し、また、犯罪後の法律の変更により刑が軽くなった場合には、刑法6条により軽い方の刑を適用すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、および贈賄の罪に問われ、下級審で有罪判決を受けた。その後、上告審の継続中に昭和27年政令117号によ…
事件番号: 昭和27(れ)78 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦(昭和27年政令第117号等)があった場合、被告人に対し免訴を言い渡すべきである。また、旧刑法下における連続犯であっても、各罪につき刑法及び特別法を適用し併合罪として処断する。 第1 事案の概要:被告人はB商事株式会社の取締役社長であり、事務員Cと共謀して、昭和21年から昭和22年にかけて以下…