判旨
大赦(昭和27年政令第117号等)があった場合、被告人に対し免訴を言い渡すべきである。また、旧刑法下における連続犯であっても、各罪につき刑法及び特別法を適用し併合罪として処断する。
問題の所在(論点)
1. 物価統制令違反の公訴事実について、大赦があった場合にどのような裁判をすべきか。2. 免訴されない贈賄罪及び詐欺罪について、どのように罪数を処理すべきか。
規範
1. 公訴事実について大赦があったときは、刑事訴訟法に基づき免訴の言渡しをしなければならない。2. 複数の犯罪行為がある場合、それが連続犯として扱われるものであっても、各罪の構成要件に従い法律を適用し、併合罪(刑法45条前段)として処断する。
重要事実
被告人はB商事株式会社の取締役社長であり、事務員Cと共謀して、昭和21年から昭和22年にかけて以下の行為を行った。(1)物価統制令に違反し、法定価格を超過する代金で丸釘、銑鉄、カーバイト、薄鋼を5回にわたり継続して販売した。(2)その他、贈賄罪(刑法198条)及び詐欺罪(刑法246条1項)に該当する事実があった。その後、昭和27年政令第117号により大赦が実施された。
あてはめ
1. 物価統制令違反の事実については、昭和27年政令第117号1条87号による大赦の対象となっている。したがって、刑訴法施行法、刑訴法411条5号等に基づき、原判決を破棄した上で免訴を言い渡すべきである。2. 残る贈賄及び詐欺の事実については、証拠により確定された事実に基づき法律を適用する。贈賄罪については刑法198条、詐欺罪については刑法246条1項をそれぞれ適用し、これらを刑法45条前段の併合罪として、同法47条及び10条により重い詐欺罪の刑に法定の加重を行うのが相当である。
結論
物価統制令違反については免訴とし、贈賄及び詐欺の併合罪について被告人を懲役6年に処し、3年間の執行猶予を付する。
事件番号: 昭和25(あ)1916 / 裁判年月日: 昭和27年11月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について政令による大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の罪数関係にある罪については、別途刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令3条違反の罪および刑法198条の贈賄罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた…
実務上の射程
大赦・特赦があった場合の免訴判決の形式的処理を示すとともに、旧法下の連続犯的な事案における併合罪適用の実務的な量刑判断の手順を確認する資料となる。
事件番号: 昭和27(あ)4502 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の罪について大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき、判決で免訴を言い渡すべきである。また、複数の犯罪事実のうち一部に免訴の事由があるときは、その部分を免訴し、残余の事実について刑を適用する。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(同令3条、4条、33条違反)および詐欺、横領の罪…
事件番号: 昭和26(れ)2471 / 裁判年月日: 昭和27年10月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反、業務上横領、詐欺の罪に問われた事案において、物価統制令違反の事実については大赦があったため免訴とし、その他の業務上横領及び詐欺の罪については併合罪として処断する。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、地下足袋を公定価格を超えて取引したことによる物価統制令違反、および業務上横領、詐欺…
事件番号: 昭和26(あ)4832 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反と詐欺の併合罪について、上告審での職権調査により物価統制令違反に大赦があったことが判明した場合、原判決を破棄し、大赦があった事実について免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反の事実(一審判決認定第一の事実)および刑法246条1項の詐欺の事実(一審判決認…
事件番号: 昭和27(あ)902 / 裁判年月日: 昭和27年12月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、その部分について免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の事実については、確定した事実に基づき自ら刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人Bら3名は、物価統制令違反、業務上横領、及び贈賄の事実により起訴され、第一審および控訴審で有罪判決…