判旨
物価統制令違反、業務上横領、詐欺の罪に問われた事案において、物価統制令違反の事実については大赦があったため免訴とし、その他の業務上横領及び詐欺の罪については併合罪として処断する。
問題の所在(論点)
1. 上告審において、公訴事実の一部について大赦があった場合の処理はどうあるべきか。2. 免訴されない残余の犯罪事実(業務上横領、詐欺)に対する処断をいかに行うべきか。
規範
1. 公訴事実について大赦があったときは、刑事訴訟法に基づき免訴の言渡しをしなければならない。2. 複数の罪(業務上横領、詐欺等)が成立し、それらが併合罪の関係にある場合は、刑法47条及び10条に従い、最も重い罪の刑に法定加重をした範囲内で刑を決定する。
重要事実
被告人A及びBは、地下足袋を公定価格を超えて取引したことによる物価統制令違反、および業務上横領、詐欺の事実により起訴された。原審はこれらの事実を認めて有罪判決を下したが、上告審の継続中に昭和27年政令第117号(大赦令)が施行された。被告人Bの弁護人は上告趣意を申し立てたが、被告人Aは上告趣意書を提出していなかった。
あてはめ
1. 物価統制令違反の事実については、昭和27年政令第117号により大赦があったことが認められるため、職権により原判決を破棄し、刑訴法施行法、旧刑訴法等の規定に基づき免訴を言い渡すべきである。2. 他方、業務上横領及び詐欺の事実については、証拠に基づき確定した事実によれば、被告人Bについては刑法253条(業務上横領)及び246条1項(詐欺)が成立し、これらは併合罪(刑法45条前段)となる。よって、最も重い詐欺罪の刑に加重した範囲内で量刑する。被告人Aについては、刑法253条の業務上横領罪が成立し、その所定刑の範囲内で量刑する。3. 両名ともに情状により3年間の執行猶予を付すのが相当である。
結論
原判決のうち被告人等に関する部分を破棄する。物価統制令違反については免訴とし、被告人Aを懲役5月、被告人Bを懲役10月に処し、いずれも3年間の執行猶予を付す。
事件番号: 昭和27(あ)4502 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の罪について大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき、判決で免訴を言い渡すべきである。また、複数の犯罪事実のうち一部に免訴の事由があるときは、その部分を免訴し、残余の事実について刑を適用する。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(同令3条、4条、33条違反)および詐欺、横領の罪…
実務上の射程
訴訟係属中に大赦があった場合の免訴判決の義務付け、および一部免訴・一部有罪となる場合の併合罪の処断実務を確認する判例。司法試験においては、免訴事由(刑訴法337条)の具体例や、上告審での職権調査事項としての処理を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和26(あ)920 / 裁判年月日: 昭和27年10月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の行為について、起訴後の政令等により大赦がなされた場合には、刑罰権が消滅するため、裁判所は実体判決をなさず免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反の事実に問われていたが、上告審係属中の昭和27年4月28日に、政令第117号「大赦令」が施行された。同令1条87号によ…
事件番号: 昭和27(あ)3624 / 裁判年月日: 昭和28年4月3日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の罪については別途刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反の罪(第一の事実)および横領罪(刑法252条1項、第三の事実)に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けた…
事件番号: 昭和27(あ)902 / 裁判年月日: 昭和27年12月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、その部分について免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の事実については、確定した事実に基づき自ら刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人Bら3名は、物価統制令違反、業務上横領、及び贈賄の事実により起訴され、第一審および控訴審で有罪判決…
事件番号: 昭和26(あ)4166 / 裁判年月日: 昭和27年10月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、裁判所は刑訴法337条3号に基づき免訴の判決を言い渡すべきであり、確定した他の事実がある場合はそれに基づき改めて量刑を行うべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令9条の2違反および業務上横領の罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けてい…