判旨
被告人の行為について、起訴後の政令等により大赦がなされた場合には、刑罰権が消滅するため、裁判所は実体判決をなさず免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴状、被告人の罪状について大赦があった場合、裁判所はどのような裁判をなすべきか。また、複数の罪名で起訴されている場合に一部に大赦があった際の扱いはどうあるべきか。
規範
刑事訴訟法337条1号は、確定判決を経たとき、同条2号は刑が廃止されたとき、同条3号は大赦があったとき、同条4号は時効が完成したときに、免訴の判決をすべき旨を定めている。大赦は公訴権を消滅させる事由であり、これが認められる場合には有罪・無罪の実体判断に先立ち、訴訟を終結させなければならない。
重要事実
被告人は物価統制令違反の事実に問われていたが、上告審係属中の昭和27年4月28日に、政令第117号「大赦令」が施行された。同令1条87号によれば、被告人が問われている物価統制令違反の罪についても大赦の対象に含まれていた。
あてはめ
本件において、物価統制令違反の事実については、大赦令1条87号の規定により大赦があったことが認められる。大赦があったときは刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。一方で、本件には「爾余の部分(その他の犯罪事実)」が存在しており、これについては大赦の対象外であるため、当該部分については原判決を破棄した上で審理を尽くさせるべく管轄裁判所に差し戻すべきである。
結論
物価統制令違反の事実については免訴を言い渡し、その他の部分については原判決を破棄して福岡高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
刑事訴訟法上の免訴事由(337条各号)が発生した場合の処理を示す典型例である。実務上、大赦や刑の廃止があった場合には、被告人の有利・不利(無罪主張の成否)にかかわらず、直ちに免訴という形式裁判によって訴訟を終了させる必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和27(あ)4502 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の罪について大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき、判決で免訴を言い渡すべきである。また、複数の犯罪事実のうち一部に免訴の事由があるときは、その部分を免訴し、残余の事実について刑を適用する。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(同令3条、4条、33条違反)および詐欺、横領の罪…
事件番号: 昭和26(あ)4166 / 裁判年月日: 昭和27年10月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、裁判所は刑訴法337条3号に基づき免訴の判決を言い渡すべきであり、確定した他の事実がある場合はそれに基づき改めて量刑を行うべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令9条の2違反および業務上横領の罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けてい…
事件番号: 昭和27(あ)5217 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、裁判所は刑事訴訟法337条3号に基づき、当該事実について免訴の判決を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令3条違反および詐欺の罪に問われ、第一審および控訴審において有罪判決を受けた。しかし、上告審係属中に「昭和27年政令第117…
事件番号: 昭和26(れ)2471 / 裁判年月日: 昭和27年10月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反、業務上横領、詐欺の罪に問われた事案において、物価統制令違反の事実については大赦があったため免訴とし、その他の業務上横領及び詐欺の罪については併合罪として処断する。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、地下足袋を公定価格を超えて取引したことによる物価統制令違反、および業務上横領、詐欺…