判旨
被告人の複数の犯罪事実のうち、一部の罪についてのみ大赦があった場合、大赦のあった部分については免訴とし、それ以外の罪については改めて刑を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
上告審において一部の犯罪事実に大赦があった場合、裁判所はどのような措置を講ずべきか。特に、免訴の範囲と残余の罪に対する刑の言い渡し方が問題となる。
規範
大赦令による大赦があったときは、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。数個の犯罪事実が併合罪等の関係にある場合において、その一部に大赦があったときは、当該部分について免訴を言い渡し、大赦の対象外である他の犯罪事実については、適法な法令の適用に基づき刑を算定し直す必要がある。
重要事実
被告人の複数の犯罪事実について第一審及び原判決がなされたが、上告審の継続中に昭和27年政令117号大赦令が公布された。被告人の有罪判決に係る犯罪事実のうち、「判示第二の罪」が大赦の対象に含まれることとなったため、最高裁判所は職権により調査を行った。
あてはめ
判決文によれば、被告人の犯罪事実のうち「判示第二の罪」は大赦令により大赦があったことが認められる。したがって、同罪については刑事訴訟法411条5号、337条3号等に基づき免訴すべきである。一方で、それ以外の犯罪事実については大赦の効力が及ばないため、刑法198条(贈賄罪)及び60条(共同正犯)を適用し、改めて懲役8年・執行猶予3年の刑を処すのが相当である。
結論
原判決及び第一審判決のうち被告人に関する部分を破棄する。大赦のあった一部の事実については免訴とし、残余の事実については懲役8年(執行猶予3年)に処する。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(あ)1916 / 裁判年月日: 昭和27年11月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について政令による大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の罪数関係にある罪については、別途刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令3条違反の罪および刑法198条の贈賄罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた…
併合罪のうち一部に免訴事由(大赦、公訴時効の完成等)が生じた場合の処理を示す。実務上は、免訴部分を切り離し、残りの有罪部分について刑を再構成する手法をとる際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(れ)2292 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で当該部分を調査し、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(人造絹織物の不当高価買受・販売)および贈賄の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。上告審継続中に昭和27年政令第117号および第87号により、…
事件番号: 昭和28(れ)15 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後の大赦は免訴事由に該当し、また、犯罪後の法律の変更により刑が軽くなった場合には、刑法6条により軽い方の刑を適用すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、および贈賄の罪に問われ、下級審で有罪判決を受けた。その後、上告審の継続中に昭和27年政令117号によ…
事件番号: 昭和27(あ)3624 / 裁判年月日: 昭和28年4月3日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の罪については別途刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反の罪(第一の事実)および横領罪(刑法252条1項、第三の事実)に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けた…
事件番号: 昭和27(あ)4502 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の罪について大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき、判決で免訴を言い渡すべきである。また、複数の犯罪事実のうち一部に免訴の事由があるときは、その部分を免訴し、残余の事実について刑を適用する。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(同令3条、4条、33条違反)および詐欺、横領の罪…