判旨
公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で当該部分を調査し、判決で免訴を言い渡さなければならない。
問題の所在(論点)
上告審において、公訴事実の一部(物価統制令違反)に対して大赦があった場合の処理、および大赦の対象外である他の公訴事実(贈賄)に対する有罪判決の可否が問題となった。
規範
公訴事実の一部について大赦令による大赦があったときは、刑事訴訟法411条5号に基づき職権で原判決を破棄した上、免訴の言渡しをなすべきである(旧刑事訴訟法448条、36条3号参照)。
重要事実
被告人は物価統制令違反(人造絹織物の不当高価買受・販売)および贈賄の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。上告審継続中に昭和27年政令第117号および第87号により、物価統制令違反の事実について大赦がなされた。弁護人はこれに関連する上告趣意を申し立てていた。
あてはめ
最高裁判所は職権により調査を行い、物価統制令違反の事実は大赦の対象に含まれることを確認した。これにより、当該部分については実体的判断をせず免訴とすべきであると判断した。一方で、贈賄の事実については大赦の影響を受けないため、原判決の認定に基づき刑法198条等を適用して有罪と認めた。
結論
原判決のうち被告人に関する部分を破棄する。物価統制令違反については免訴とし、贈賄罪については懲役3月、執行猶予3年の刑に処する。
実務上の射程
大赦があった場合の刑事手続上の処理(免訴)を明示した判例である。司法試験においては、公訴棄却や免訴などの形式裁判事由の有無を確認する際、大赦が実体的確定力を遮断する事由であることを示す際に参照される。
事件番号: 昭和25(あ)1916 / 裁判年月日: 昭和27年11月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について政令による大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の罪数関係にある罪については、別途刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令3条違反の罪および刑法198条の贈賄罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた…
事件番号: 昭和27(あ)3021 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の複数の犯罪事実のうち、一部の罪についてのみ大赦があった場合、大赦のあった部分については免訴とし、それ以外の罪については改めて刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人の複数の犯罪事実について第一審及び原判決がなされたが、上告審の継続中に昭和27年政令117号大赦令が公布された。被告…
事件番号: 昭和27(あ)3624 / 裁判年月日: 昭和28年4月3日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の罪については別途刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反の罪(第一の事実)および横領罪(刑法252条1項、第三の事実)に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けた…
事件番号: 昭和28(れ)15 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後の大赦は免訴事由に該当し、また、犯罪後の法律の変更により刑が軽くなった場合には、刑法6条により軽い方の刑を適用すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、および贈賄の罪に問われ、下級審で有罪判決を受けた。その後、上告審の継続中に昭和27年政令117号によ…