判旨
複数の罪が併合罪の関係にある場合において、一部の罪に大赦があったときは、その部分について免訴を言い渡し、残りの罪について刑を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
併合罪として1つの手続で審理されている複数の罪のうち、一部にのみ免訴事由(大赦)が生じた場合、裁判所はどのような判決を下すべきか。
規範
併合罪(刑法45条前段)の関係にある複数の公訴事実のうち、一部の罪についてのみ大赦(刑事訴訟法337条3号)があった場合には、当該事実については免訴の言渡しをなし、大赦の対象外である他の事実については、別途確定した事実に法律を適用して刑を量定すべきである。
重要事実
被告人は、詐欺罪(刑法246条1項)および物価統制令違反の罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けた。その後、最高裁判所での上告審継続中に、物価統制令違反の罪について「大赦令」が公布され、同罪は大赦の対象となった。一方で、併合罪の関係にある詐欺罪については大赦の対象外であった。
あてはめ
本件公訴事実のうち、地下足袋に関する物価統制令違反の事実は、昭和27年政令第117号大赦令1条87号により大赦があったことが認められる。したがって、同法337条3号に基づき、この部分については免訴を言い渡すべきである。他方、詐欺の事実は大赦の対象外であり、第一審判決が適法に確定した事実によれば刑法246条1項に該当する。そこで、免訴部分を含めて原判決を破棄した上で、詐欺罪について懲役10年・執行猶予3年の刑を言い渡し、物価統制令違反については免訴とする自判を行うのが相当である。
結論
一部の罪に大赦があったため、原判決を破棄し、当該罪については免訴を言い渡し、残余の詐欺罪について有罪(刑の言渡し)とする。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(あ)5217 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、裁判所は刑事訴訟法337条3号に基づき、当該事実について免訴の判決を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令3条違反および詐欺の罪に問われ、第一審および控訴審において有罪判決を受けた。しかし、上告審係属中に「昭和27年政令第117…
併合罪の一部について免訴・公訴棄却等の形式裁判の事由が生じた場合、実体裁判(有罪・無罪)を行うべき他の罪と切り離して、主文において個別に免訴等を明示する必要があることを示す実務上の指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)4832 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反と詐欺の併合罪について、上告審での職権調査により物価統制令違反に大赦があったことが判明した場合、原判決を破棄し、大赦があった事実について免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反の事実(一審判決認定第一の事実)および刑法246条1項の詐欺の事実(一審判決認…
事件番号: 昭和27(あ)4502 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】物価統制令違反の罪について大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき、判決で免訴を言い渡すべきである。また、複数の犯罪事実のうち一部に免訴の事由があるときは、その部分を免訴し、残余の事実について刑を適用する。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(同令3条、4条、33条違反)および詐欺、横領の罪…
事件番号: 昭和27(れ)128 / 裁判年月日: 昭和27年10月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】併合罪の関係にある罪のうち、一部の罪について大赦による赦免があった場合、裁判所は当該部分について免訴を言い渡し、残りの罪について刑を再画定すべきである。本判決は、公文書変造・行使・詐欺の罪と物価統制令違反の罪が併合罪として処理されていた事案において、後者のみを免訴とした。 第1 事案の概要:被告人…
事件番号: 昭和26(あ)920 / 裁判年月日: 昭和27年10月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の行為について、起訴後の政令等により大赦がなされた場合には、刑罰権が消滅するため、裁判所は実体判決をなさず免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反の事実に問われていたが、上告審係属中の昭和27年4月28日に、政令第117号「大赦令」が施行された。同令1条87号によ…