控訴審において事実の確定に影響を及ぼさない事由(本件では量刑不当)により第一審判決を破棄して自判する場合に第一審判決の認定した事実を基礎として法令を適用することの正当であることは、当裁判所の判例とするところであるから(昭和二七年(あ)四一七号同二八年一一月一〇日第三小法廷判決〔集七巻一一号二〇五一頁〕、昭和二七年(あ)五二六一号同二九年二月九日第三小法廷判決参照)、原判決にすこしも違法はない。
控訴審が第一審判決の量刑不当を理由として破棄自判した場合と犯罪事実の判示の要否
刑訴法381条,刑訴法397条,刑訴法400条
判旨
控訴審において量刑不当を理由に第一審判決を破棄して自判する場合、控訴審が自ら事実認定を行うことなく、第一審判決が認定した事実を基礎として法令を適用することは正当である。
問題の所在(論点)
控訴審が量刑不当を理由に第一審判決を破棄して自判する場合に、控訴審独自の事実認定を経ることなく第一審の認定事実を基礎とすることが許されるか(刑訴法400条但書、405条等)。
規範
控訴審が、事実の確定に影響を及ぼさない事由(量刑不当等)を理由として第一審判決を破棄し、自ら判決(自判)を言い渡す場合においては、第一審判決が認定した事実をそのまま基礎として法令を適用することができる。
重要事実
被告人は第一審で有罪判決を受けたが、量刑を不服として控訴。控訴審(原審)は、事実認定については第一審の判断を維持しつつ、量刑不当のみを理由として第一審判決を破棄し、第一審の認定事実に基づき自ら判決を下した。これに対し弁護人は、控訴審が自ら事実認定を行わずに自判することは憲法31条(適正手続)や刑事訴訟法に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件において、原判決(控訴審)は量刑が不当であるという、事実確定そのものには影響を及ぼさない事由に基づき第一審判決を破棄している。この場合、原判決は第一審判決が適法に認定した事実をそのまま引用して法令を適用しており、独自の事実認定を行う必要はない。このような手法は、判例の趣旨に照らしても正当であり、適正な手続を定めた憲法31条にも違反しない。
結論
量刑不当による破棄自判において、第一審の認定事実を基礎とすることに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
量刑不当を理由とする破棄自判(刑事訴訟法400条但書)の際の事実認定の在り方を示す。事後審的性格を持つ控訴審において、第一審の認定事実が正当である限り、それを前提とした自判が可能であることを裏付ける実務上の指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)4103 / 裁判年月日: 昭和28年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決において、第一審判決の擬律錯誤を説明するために犯罪事実の要旨を摘録した記載は、控訴審独自の犯罪事実の判示とは解されない。 第1 事案の概要:被告人が第一審判決における擬律錯誤を理由として控訴したところ、原審(控訴審)は第一審判決に擬律錯誤があることを説明するため、その理由中で第一審が判示…