第一審判決に判示するように、巡査部長Aが被告人を挙動不審者として職務質問したことは、同判決挙示の証拠によつて十分に肯認されるのであるから、同人の行為は警察官等職務執行法二条による適法な公務執行々為と認むべきである。論旨は、本件公務執行々為が適法でないことを前提として判例違反を主張するか、事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
警察官等職務執行法第二条にいう「職務質問」は公務執行妨害における公務か
警察官等職務執行法2条,刑訴法405条
判旨
国選弁護人の報酬等を訴訟費用として被告人に負担させることは憲法37条3項に違反せず、挙動不審者に対する職務質問は警察官職務執行法2条に基づく適法な公務執行にあたる。
問題の所在(論点)
1. 国選弁護人の報酬等を被告人に負担させることが、弁護人依頼権を保障した憲法37条3項に違反しないか。 2. 挙動不審者に対する職務質問が、警察官職務執行法2条に基づく適法な公務執行といえるか。
規範
国選弁護人の報酬及び費用を被告人の負担とすることは、被告人の弁護人依頼権を保障する憲法37条3項の趣旨に反しない。また、職務質問については、警察官職務執行法2条所定の「挙動不審者」等の要件を満たし、その職務の範囲内で行われる限り、適法な公務執行として認められる。
重要事実
被告人は巡査部長から挙動不審者として職務質問を受けた。その際、被告人が反抗した等の事情により公務執行妨害罪の成否が問題となった。また、原審は被告人に対し、国選弁護人に関する報酬等の訴訟費用の負担を命じていた。
あてはめ
1. 憲法37条3項は国費で弁護人を付すべきことを定めているが、最終的に訴訟費用として被告人に負担を命じることは、同条の禁止するところではない。 2. 本件において、巡査部長が行った職務質問は、被告人の挙動に不審な点があることに基づいて行われており、警察官職務執行法2条が定める要件を充足している。したがって、当該職務質問は適法な公務執行行為であると認められる。
結論
国選弁護人費用の被告人負担は合憲であり、また本件の職務質問は適法な公務執行にあたるため、公務執行妨害罪等の成立を妨げない。
実務上の射程
職務質問の適法性が争点となる公務執行妨害事件において、警察官職務執行法2条の要件充足性を肯定する際の根拠として活用できる。また、国選弁護制度の費用負担の合憲性を前提とした訴訟実務を裏付ける射程を持つ。
事件番号: 昭和24新(れ)517 / 裁判年月日: 昭和27年6月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国選弁護人の報酬等の訴訟費用を被告人に負担させることは、憲法37条3項の定める弁護人依頼権を侵害するものではなく、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において国選弁護人の選任を受けた。裁判所は、刑訴法181条に基づき、国選弁護人に対する報酬等の訴訟費用を被告人に負担させる旨の判決を下し…
事件番号: 昭和25(あ)1279 / 裁判年月日: 昭和25年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判」とは、裁判所の組織構成等において偏頗や不公平のおそれがないことを意味し、個々の裁判の内容の公平を指すものではない。 第1 事案の概要:被告人は、原審が第一および第三の事実を認定するに際し、十分な審理を尽くさず、証拠能力に欠ける証拠を羅列して事実を認定し…