当該年度における米穀の供出割当数量が実収高を超えるような場合を除き、正規に決定せられた割当数量は一応その全量を供出すべきもので所論のような実収高から先ず優先的に自家保有米に相当する数量を控除した残量のみを供出すれば足りるものでない。(昭和二六年(れ)第九七八号同年一二月七日第二小法廷判決参照)
供出米数量の割当と供出義務
食糧管理法3条
判旨
食糧管理法に基づき正規に決定された米穀の供出割当数量は、実収高が割当数量を下回るなどの特段の事情がない限り、その全量を供出すべき義務がある。実収高から自家保有米を優先的に控除し、その残量のみを供出対象とすることは認められない。
問題の所在(論点)
食糧管理法に基づく米穀の供出割定義務において、実収高から自家保有米を優先的に控除した残量のみを供出すれば足りると解すべきか、それとも割当数量の全量を供出すべきかが問題となる。
規範
食糧管理法に基づき正規の手続を経て決定された米穀の供出割当数量は、原則としてその全量を供出すべき公法上の義務を課すものである。ただし、当該年度における米穀の実収高が供出割当数量に満たないような客観的な不能が生じている場合はこの限りではない。
重要事実
被告人らは、食糧管理法に基づき米穀の供出割当を受けたが、これを履行しなかった。弁護人は、米穀の実収高からまず自家保有米(自己の消費分)を優先的に控除し、その残りの数量についてのみ供出義務を負うべきであり、割当数量全額の供出を強制することは法の解釈として誤りである旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、供出割当数量は正規の決定手続を経て定められたものである。実収高が割当数量を下回っているという特段の事情が認められない以上、決定された割当数量は一応その全量が供出の対象となる。被告人側の主張するように、個人の自家保有米を当然に優先させ、割当義務を事後的に縮減させるような解釈は、食糧配給制度の根幹をなす供出制度の法的性質に反するといえる。
結論
正規に決定された供出割当数量は、その全量を供出すべきであり、自家保有米を優先的に控除することはできない。したがって、被告人らの主張は理由がなく、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の割当処分に基づく義務の範囲が争点となる事案において、法令の目的や処分手続の正当性を基礎に、義務の内容を確定させる際の基準として活用できる。もっとも、食糧管理法下の特殊な統制経済を背景とした判例であり、現代の自由経済下における公法上の義務賦課については、別途、生存権や財産権との兼ね合いで検討を要する。
事件番号: 昭和27(あ)4905 / 裁判年月日: 昭和29年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧の供出割当が適法であり、かつ割当数量が実収高の範囲内である場合には、当該割当に基づく供出義務の不履行を処罰することは憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は食糧の供出割当を受けたが、これを違法無効であると主張し、かつ割当数量が自己の収穫した実収高を超えていると主張して、供出義務の不履行に…