判旨
食糧管理法及び食糧確保臨時措置法に基づく農産物の供出制度は、憲法に違反しない。また、供出数量の決定手続において異議申立の機会を保障し、災害等の事情を考慮して運用されている限り、その適用に違法はない。
問題の所在(論点)
食管法及び食確法に基づく食糧供出制度が憲法に違反するか。また、供出数量の決定過程における異議申立手続や、災害を理由とする数量変更の不認容が、処分の違法性を基礎付けるか(行政手続の適正性と法の合憲性)。
規範
食糧管理法(食管法)及び食糧確保臨時措置法(食確法)に基づく食糧の強制的供出制度は、国民の食糧確保という公共の福祉を目的とするものであり、その解釈・適用が適正である限り合憲である。行政庁が定める供出計画において、生産者への異議申立機会の付与や、災害による収穫減少に応じた数量変更請求の適正な処理が行われているならば、当該処分は法的に正当化される。
重要事実
被告人らは、食管法及び食確法に基づき農産物の供出を求められたが、これに応じなかった。弁護人は、本件の農業計画が生産者から異議申立の機会を剥奪しており、かつ災害による供出数量変更の請求を不当に排斥したものであると主張し、当該制度の違憲性及び処分の違法性を争った。第一審及び控訴審は被告人らを公訴事実通りに認定し、弁護人の主張を退けた。
あてはめ
最高裁は、記録を精査した結果、本件農業計画において生産者から異議申立の機会を剥奪した事実は認められないとした。また、災害による供出数量変更の請求についても、不当に排斥された事実は認められないと判断した。先行する大法廷判決(昭和26年7月18日等)の趣旨に照らせば、食管法等の解釈は正当であり、事案の具体的運用においても違法な点は存在しない。したがって、違憲論の前提となる事実関係自体が否定される。
結論
本件各上告を棄却する。食管法等に基づく供出制度は合憲であり、本件における具体的な数量決定手続にも違法な点は認められない。
実務上の射程
食糧管理制度のような公共の福祉に基づく経済的自由の制限について、先行する合憲判決を維持しつつ、具体的な手続保障(異議申立等)が遵守されている限り、その運用が適法であることを確認している。行政処分の違法を争う際に、手続的瑕疵が認められない場合の判断枠組みとして参照される。
事件番号: 昭和27(あ)5418 / 裁判年月日: 昭和29年3月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法第9条の規定は、憲法に反するものではなく、合憲である。過去の大法廷判決の判例を維持し、同法の合憲性を改めて確認した。 第1 事案の概要:上告人は食糧管理法違反で起訴されたが、弁護人は同法第9条が憲法に違反するものであるとして上告した。事案の具体的な犯罪事実等の詳細については、本判決文から…