判旨
食糧の供出割当が過重又は違法であるとの主張は、実質的に事実誤認又は法令違反の主張に帰着し、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
食糧の供出割当が過重・違法であるとの主張が、憲法違反を理由とする適法な上告理由(刑訴法405条)として認められるか。
規範
刑訴法405条の上告理由において、憲法違反を主張していても、その実質が事実誤認(供出割当が過重であること等)や単なる法令違反(割当の違法性等)をいうにすぎない場合は、適法な上告理由には該当しない。また、職権による判決破棄(刑訴法411条)は、著しく正義に反する場合等に限定される。
重要事実
被告人は昭和23年度の食糧供出割当を受けたが、当該割当が過重であり違法であると主張して上告した。被告人はこの主張を憲法違反として構成したが、実態としては行政処分(供出割当)の妥当性や適法性を争うものであった。なお、事案当時の関係法令として、食糧確保臨時措置法の適用はなく、昭和23年12月18日農林省令第115号附則2項が適用される状況にあった。
あてはめ
被告人の主張は形式的には憲法違反を掲げているが、その実質的な内容は、本件供出割当が過重であるという「事実誤認」の主張、あるいは割当が違法であるという「法令違反」の主張にすぎない。これらは刑訴法405条が定める限定的な上告理由(憲法違反、判例違反)のいずれにも該当しない。また、記録を精査しても、職権による破棄事由(同法411条)が存在するほど正義に反する事態とは認められない。
結論
本件上告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上告理由の限定性を確認する。実務上、行政処分に基づく義務違反が問われる事件において、当該処分の不当性を憲法違反として主張しても、それが実質的に事実認定や法令適用の是非に留まる場合は、上告審での審理対象とはならないことを示す。
事件番号: 昭和25(あ)1037 / 裁判年月日: 昭和26年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張しても、その実質が刑事訴訟法411条2号(判決後の刑の廃止等)に該当する事由の主張にすぎない場合は、適法な上告理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が憲法違反を主張して上告を申し立てた事案。しかし、その主張の実質を検討すると、刑事訴訟法411条2号に該当する事由(判決後の刑の変…