判旨
大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。
問題の所在(論点)
上告審において公訴事実の一部が大赦の対象となった場合における、裁判所の措置および残余の罪に対する刑の適用の在り方が問題となる。
規範
公訴事実の一部について、判決確定前に政令による大赦があった場合には、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。複数の公訴事実が併合罪の関係にある場合、大赦の対象とならない事案については、改めて実体法を適用して処断刑を導き出し、適切な刑を科す必要がある。
重要事実
被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石油製品を法定の除外事由なく配給割当公文書と引き換えずに譲り受け、または譲り渡したとして起訴された。第一審及び原審では有罪判決がなされたが、上告審係属中に「昭和二十七年政令第百十七号大赦令」が施行され、公訴事実のうち「機械油」に関する違反行為が当該大赦の対象に含まれることとなった。
あてはめ
本件公訴事実のうち、機械油に関する石油製品配給規則違反の事実は、昭和27年政令第117号大赦令により大赦があったことが認められる。したがって、刑事訴訟法411条5号、413条但書、337条3号を適用し、当該事実については免訴を言い渡すべきである。一方で、揮発油や軽油等の譲受・譲渡等に関する残余の事実は大赦の対象外である。これらは臨時物資需給調整法4条等に該当し、刑法45条前段の併合罪となる。よって、免訴部分を除外した残余の事実に基づき、刑法47条、48条2項等を適用して、懲役4月及び罰金10万円の刑を科し、情状により執行猶予を付するのが相当である。
結論
原判決及び第一審判決を破棄し、大赦のあった機械油に関する事実は免訴とする。免訴にかからない残余の事実については、懲役4月(執行猶予3年)及び罰金10万円に処する。
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…
実務上の射程
本判決は、複数の罪が併合罪として起訴されている場合に、一部の罪についてのみ大赦等の免訴事由が生じた際の具体的処理(一部免訴・一部有罪)を示した実務的な先例である。答案上では、事後的な法改正や恩赦による刑の廃止・変更を検討する際の基礎的な手続論として参照し得る。
事件番号: 昭和27(あ)729 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の公訴事実については別途刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人両名は、スピンドル油、パラフィン、モビール油の不法譲受け(石油製品配給規則12条違反)、およびB重油の譲受けの事実により…
事件番号: 昭和27(あ)1528 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】数個の罪が併合罪の関係にある場合において、その一部の罪についてのみ大赦があったときは、大赦の対象となった罪について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告会社は、臨時物資需給調整法および石油製品配給規則に違反する複数の罪(別紙一覧表記載の1〜42の…
事件番号: 昭和27(あ)2732 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】原判決後に大赦令が公布された場合、刑事訴訟法411条5号に基づき職権で原判決を破棄し、大赦の対象となった事実については免訴を言い渡すべきである。その他の罪については、併合罪として処断し、罰金刑を選択した上で適正な刑を科すのが相当である。 第1 事案の概要:被告人は、石油製品の違反譲渡(石油製品配給…
事件番号: 昭和27(あ)1874 / 裁判年月日: 昭和27年11月6日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の複数の行為が併合罪の関係にある場合において、原判決後に一部の罪について大赦があったときは、当該部分につき免訴を言い渡し、残余の罪については改めて刑を算定して言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は臨時物資需給調整法違反の罪に問われ、第一審および控訴審において複数の違反行為が併合罪と…