判旨
数個の罪が併合罪の関係にある場合において、その一部の罪についてのみ大赦があったときは、大赦の対象となった罪について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を科すべきである。
問題の所在(論点)
併合罪の関係にある複数の犯罪のうち、一部の罪についてのみ大赦があった場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。併合罪全体が免訴となるのか、あるいは一部のみを免訴として残余の罪を処罰すべきかが問題となる。
規範
刑法45条前段の併合罪として扱われる数個の犯罪のうち、一部の罪についてのみ大赦令による免訴事由(刑事訴訟法337条3号)が生じた場合、裁判所は当該一部の罪について免訴を言い渡すとともに、残りの罪については、併合罪の規定(刑法48条等)を適用して刑を算定し、処断すべきである。
重要事実
被告人Aおよび被告会社は、臨時物資需給調整法および石油製品配給規則に違反する複数の罪(別紙一覧表記載の1〜42の各犯罪)を犯したとして起訴された。原判決(有罪)の宣告後、昭和27年政令117号大赦令が公布・施行された。この大赦令により、被告人らの犯した併合罪のうち、一部の犯罪((1)〜(19)、(23)、(28))は大赦の対象となったが、残りの犯罪((20)〜(22)、(24)〜(27)、(29)〜(42))は大赦の対象外であった。
あてはめ
本件において、一覧表記載の(1)乃至(19)等の罪は、大赦令の規定に該当するため、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すのが相当である。一方で、(20)乃至(22)等の罪については大赦の効力が及ばない。これらは刑法45条前段の併合罪であるから、刑法48条2項に基づき、大赦の対象外である各罪について合算した範囲内で罰金刑を科すのが相当である。したがって、原判決のうち有罪とした部分は、大赦という事後的な事由により破棄を免れない(刑訴法411条5号)。
結論
大赦の対象となった犯罪については免訴を言い渡し、大赦の対象外である残余の犯罪については、併合罪として罰金刑を科す。
事件番号: 昭和27(あ)1874 / 裁判年月日: 昭和27年11月6日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の複数の行為が併合罪の関係にある場合において、原判決後に一部の罪について大赦があったときは、当該部分につき免訴を言い渡し、残余の罪については改めて刑を算定して言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は臨時物資需給調整法違反の罪に問われ、第一審および控訴審において複数の違反行為が併合罪と…
実務上の射程
併合罪の一部に免訴事由(大赦、時効完成、確定判決等)がある場合の処理方法を示す。実務上、併合罪を構成する個々の罪ごとに免訴の成否を判断し、免訴されない罪が残る場合には、それらの間でのみ併合罪としての加重・合算を行い、刑を量定することになる。
事件番号: 昭和27(あ)606 / 裁判年月日: 昭和27年12月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石…
事件番号: 昭和27(あ)729 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の公訴事実については別途刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人両名は、スピンドル油、パラフィン、モビール油の不法譲受け(石油製品配給規則12条違反)、およびB重油の譲受けの事実により…
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…
事件番号: 昭和27(あ)5894 / 裁判年月日: 昭和28年5月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】数罪が刑法45条前段の併合罪の関係にある場合において、その一部の罪について大赦があったときは、当該部分について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人会社及びその代表者Cらは、潤滑油等の譲渡・譲受に関し、臨時物資需給調整法違反の罪に問われた。第一審判決は、複…