判旨
数罪が刑法45条前段の併合罪の関係にある場合において、その一部の罪について大赦があったときは、当該部分について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を量定すべきである。
問題の所在(論点)
併合罪の関係にある複数の犯罪事実のうち、一部の罪について大赦(免訴事由)が生じた場合、裁判所はどのような措置を講じるべきか。特に、併合罪として一括して処断されている場合の処理が問題となる。
規範
被告人の数個の犯罪事実が刑法45条前段の併合罪の関係にある場合、その一部の罪が免訴事由(刑事訴訟法337条各号)に該当するときは、当該罪について免訴を言い渡した上で、他の罪について法令を適用し、刑を量定する。
重要事実
被告人会社及びその代表者Cらは、潤滑油等の譲渡・譲受に関し、臨時物資需給調整法違反の罪に問われた。第一審判決は、複数の違反事実を併合罪として処断したが、上告審係属中に昭和27年政令117号(大赦令)が施行され、対象事実のうち「潤滑油に関する違反の事実」が大赦の対象となった。
あてはめ
本件における被告人らの行為のうち、潤滑油に関する配給統制違反の事実は、大赦令1条88号により大赦があった。したがって、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。一方で、大赦の対象外である「爾余の事実(その他の石油製品に関する違反等)」については、依然として有罪性が維持される。よって、併合罪として一括処断した原判決を破棄した上で、免訴部分を切り離し、残余の事実について刑法45条前段、47条、48条等を適用して改めて刑を算定する。
結論
一部の罪について免訴(大赦)を言い渡し、残余の事実について有罪として刑を科す。具体的には、代表者Cを懲役1年6月(執行猶予2年)及び罰金20万円に、被告人会社を罰金50万円に処した。
事件番号: 昭和27(あ)2473 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により免訴事由が生じた場合、最高裁判所は職権で原判決を破棄し、免訴の言い渡しをすべきである。また、併合罪の一部に免訴事由があり、他の罪について有罪を維持する場合は、免訴部分を切り離して残余の罪について刑を再画定する。 第1 事案の概要:被告会社および被告人Aは、マシン油・モビール油の買…
実務上の射程
併合罪の処理において一部に免訴事由がある場合の定石的な処理手順を示す。実務上、上告審で一部の事実に免訴事由(大赦や時効完成等)が生じた際、併合罪として一括された判決全体を破棄自判する際の枠組みとして機能する。答案上は、数罪の罪数関係を確定した後の主文の書き方や判決の構成として意識すべき論点である。
事件番号: 昭和27(あ)3305 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部が大赦令の対象となる場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の罪と併合罪の関係にあるときは、原判決を破棄した上で一部免訴とし、残余の事実に即して刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、抄繊織物変織敷布を統制額超過代金で譲り渡した事実、および合成清酒を統…
事件番号: 昭和28(あ)2146 / 裁判年月日: 昭和29年5月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦がなされた事実は、刑訴法411条5号に基づき職権で原判決を破棄すべき理由となり、対象事実については免訴(同法337条3号)を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反および臨時物資需給調整法違反の罪に問われ、第一審で併合罪として処断された。原判決(二審)の後、昭和27年政…
事件番号: 昭和26(あ)4946 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】裁判所が併合罪として認定した事実の一部が大赦(昭和27年政令117号)の対象となった場合、裁判所は刑事訴訟法411条5号に基づき職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、機械油やマシン油を配給割当公文書と引き換えることなく売買した点(臨時物…
事件番号: 昭和27(あ)1528 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】数個の罪が併合罪の関係にある場合において、その一部の罪についてのみ大赦があったときは、大赦の対象となった罪について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告会社は、臨時物資需給調整法および石油製品配給規則に違反する複数の罪(別紙一覧表記載の1〜42の…