判旨
公訴事実の一部が大赦令の対象となる場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の罪と併合罪の関係にあるときは、原判決を破棄した上で一部免訴とし、残余の事実に即して刑を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
数個の公訴事実のうち、一部の事実についてのみ大赦がなされた場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。具体的には、大赦の対象となった事実についての免訴の要否と、残余の事実に対する刑の量定が問題となる。
規範
被告事件が「大赦があったとき」に該当する場合、裁判所は免訴の言渡しをしなければならない(刑事訴訟法337条3号)。数個の公訴事実が併合罪(刑法45条前段)の関係にある場合、その一部が大赦の対象となったときは、当該部分について免訴を言い渡し、残余の事実について有罪判決を下す。上告審においてこの事由が判明したときは、職権により原判決を破棄し(刑訴法411条5号)、自判することができる(同法413条但書)。
重要事実
被告人は、抄繊織物変織敷布を統制額超過代金で譲り渡した事実、および合成清酒を統制額超過代金で買い受け・売り渡した事実により起訴された。第一審および控訴審は有罪判決を下したが、上告審継続中に昭和27年政令第117号大赦令が施行された。この大赦令1条87号により、抄繊織物変織敷布の譲渡に関する事実は大赦の対象に含まれることとなった。
あてはめ
本件のうち抄繊織物変織敷布の譲渡事実は、大赦令1条87号に規定する罪に該当するため、刑訴法337条3号に基づき免訴すべき事由がある。一方で、合成清酒の売買に関する事実は大赦の対象外であり、第一審判決で確定した事実関係に基づき、物価統制令違反としての罪責を免れない。したがって、全体として一罪として処断していた原判決および第一審判決は、法令の適用を誤ったものとして破棄を免れない。破棄自判にあたっては、大赦対象事実に免訴を言い渡し、残余の確定事実について罰金刑を適用するのが相当である。
結論
原判決及び第一審判決を破棄する。抄繊織物変織敷布の譲渡事実については免訴とし、残余の合成清酒に関する事実について被告人を罰金3万円に処する。
事件番号: 昭和27(あ)2473 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により免訴事由が生じた場合、最高裁判所は職権で原判決を破棄し、免訴の言い渡しをすべきである。また、併合罪の一部に免訴事由があり、他の罪について有罪を維持する場合は、免訴部分を切り離して残余の罪について刑を再画定する。 第1 事案の概要:被告会社および被告人Aは、マシン油・モビール油の買…
実務上の射程
併合罪関係にある公訴事実の一部について免訴事由(大赦、時効完成、確定判決等)が生じた際の処理を示す実務上の先例である。答案上では、一部免訴の形式や、判決主文において「免訴」と「有罪」が併存する形式を記述する際の根拠となる。
事件番号: 昭和27(あ)5894 / 裁判年月日: 昭和28年5月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】数罪が刑法45条前段の併合罪の関係にある場合において、その一部の罪について大赦があったときは、当該部分について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人会社及びその代表者Cらは、潤滑油等の譲渡・譲受に関し、臨時物資需給調整法違反の罪に問われた。第一審判決は、複…
事件番号: 昭和26(あ)4946 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】裁判所が併合罪として認定した事実の一部が大赦(昭和27年政令117号)の対象となった場合、裁判所は刑事訴訟法411条5号に基づき職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、機械油やマシン油を配給割当公文書と引き換えることなく売買した点(臨時物…
事件番号: 昭和28(あ)2146 / 裁判年月日: 昭和29年5月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦がなされた事実は、刑訴法411条5号に基づき職権で原判決を破棄すべき理由となり、対象事実については免訴(同法337条3号)を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反および臨時物資需給調整法違反の罪に問われ、第一審で併合罪として処断された。原判決(二審)の後、昭和27年政…
事件番号: 昭和27(あ)3023 / 裁判年月日: 昭和27年12月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦(昭和27年政令第117号)がなされた公訴事実については、刑訴法337条3号に基づき免訴すべきであり、これに該当しない余の罪については適法に処断されるべきである。 第1 事案の概要:被告人Aは臨時物資需給調整法違反、物価統制令違反、および食糧管理法違反の罪で起訴され、被告人Bは物価統制令違反お…