判旨
裁判所が併合罪として認定した事実の一部が大赦(昭和27年政令117号)の対象となった場合、裁判所は刑事訴訟法411条5号に基づき職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡さなければならない。
問題の所在(論点)
併合罪の処断対象となっている事実の一部について、判決確定前に大赦がなされた場合、裁判所はどのような措置を講ずるべきか。
規範
併合罪の関係にある複数の罪のうち、一部の罪について大赦令の適用がある場合には、判決においてその部分を特定し、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。また、上告審において大赦による刑の廃止が判明した場合には、同法411条5号により職権で原判決を破棄し、自判することが可能である(同法413条但書)。
重要事実
被告人は、機械油やマシン油を配給割当公文書と引き換えることなく売買した点(臨時物資需給調整法違反)および石油製品を統制額を超えて売買した点(物価統制令違反)により有罪とされた。しかし、上告審の係属中に昭和27年政令117号(大赦令)が公布・施行され、被告人が犯した罪の一部(特定の機械油等の売買事実および統制額超過売買の事実)がこの大赦の対象となった。
あてはめ
第一審が認定した併合罪の事実のうち、機械油等の無引換売買事実および物価統制令違反の事実は、昭和27年政令117号1条87号および88号によって大赦された。したがって、これらの事実は刑事訴訟法337条3号の「大赦があったとき」に該当し、実体判決を下すことはできない。一方で、大赦の対象とならない残余の事実については依然として犯罪を構成するため、これらを分離して処断し、大赦にかかる部分については免訴の言渡しを行うべきである。
結論
大赦の対象となった事実については免訴を言い渡し、大赦の対象とならない残余の有罪事実について改めて刑を量定する。
事件番号: 昭和27(あ)2473 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により免訴事由が生じた場合、最高裁判所は職権で原判決を破棄し、免訴の言い渡しをすべきである。また、併合罪の一部に免訴事由があり、他の罪について有罪を維持する場合は、免訴部分を切り離して残余の罪について刑を再画定する。 第1 事案の概要:被告会社および被告人Aは、マシン油・モビール油の買…
実務上の射程
大赦という特殊な事案であるが、実務上の意義としては、上告審における職権破棄事由(刑訴法411条5号)の運用例として参照される。併合罪の一部に免訴事由が生じた場合、判決主文において「被告人を免訴する」部分と「被告人を懲役○年に処する」部分をそれぞれ明示する必要があることを示している。
事件番号: 昭和27(あ)3305 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部が大赦令の対象となる場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の罪と併合罪の関係にあるときは、原判決を破棄した上で一部免訴とし、残余の事実に即して刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、抄繊織物変織敷布を統制額超過代金で譲り渡した事実、および合成清酒を統…
事件番号: 昭和27(あ)5894 / 裁判年月日: 昭和28年5月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】数罪が刑法45条前段の併合罪の関係にある場合において、その一部の罪について大赦があったときは、当該部分について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人会社及びその代表者Cらは、潤滑油等の譲渡・譲受に関し、臨時物資需給調整法違反の罪に問われた。第一審判決は、複…
事件番号: 昭和26(あ)5172 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は刑事訴訟法に基づき職権で判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則に違反し、タービン油を譲り受け、かつ譲渡した事実(公訴事実の一部)等について有罪判決を受…
事件番号: 昭和28(あ)2146 / 裁判年月日: 昭和29年5月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦がなされた事実は、刑訴法411条5号に基づき職権で原判決を破棄すべき理由となり、対象事実については免訴(同法337条3号)を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反および臨時物資需給調整法違反の罪に問われ、第一審で併合罪として処断された。原判決(二審)の後、昭和27年政…