判旨
公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の公訴事実については別途刑を量定すべきである。
問題の所在(論点)
公訴事実の一部が上告審において大赦の対象となった場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。特に、大赦の対象となった部分とそうでない部分が併合罪の関係にある場合の処理が問題となる。
規範
公訴事実の中に、その後の政令等により大赦の対象となった事実が含まれる場合、裁判所は刑事訴訟法337条3号に基づき、当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。一方で、大赦の対象となっていない他の公訴事実については、確定した証拠に基づき実体判決を維持し、適切な刑を科す必要がある。
重要事実
被告人両名は、スピンドル油、パラフィン、モビール油の不法譲受け(石油製品配給規則12条違反)、およびB重油の譲受けの事実により起訴された。第一審および原審において有罪判決が下されたが、上告審継続中に「昭和二十七年政令第百十七号」が施行され、スピンドル油等の譲受け事犯について大赦がなされた。一方で、B重油の譲受けに関する事実は大赦の対象外であった。
あてはめ
本件のうち、スピンドル油、パラフィン、モビール油の譲受けの事実については、政令により大赦があったことが明らかである。したがって、刑訴法411条5号(刑の廃止、大赦等)に基づき原判決を破棄した上で、同法337条3号を適用し、当該部分について免訴を言い渡すべきである。他方、B重油譲受けの事実は大赦の対象外であり、第一審が適法に確定した事実に基づき、臨時物資需給調整法および石油製品配給規則等に照らして依然として有罪と認められる。よって、大赦の対象外である事実についてのみ、改めて刑法45条(併合罪)等の規定を適用して刑を算定し直す必要がある。
結論
大赦の対象となった事実について免訴を言い渡し、対象外の事実については懲役刑(執行猶予付)および罰金刑を併科する。
事件番号: 昭和27(あ)606 / 裁判年月日: 昭和27年12月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石…
実務上の射程
手続法上の論点として、訴訟条件の欠如(大赦)が一部に生じた場合の区分処理を示す。司法試験においては、免訴事由(刑訴法337条)の具体的事例として、また一部免訴・一部有罪という形式的裁判と実体裁判が混在する判決の書き方の一例として参照される。
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…
事件番号: 昭和26(あ)1662 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象とならない他の罪については、適法に確定した事実に基づき刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、共謀または単独でモビール油および軽油を不法に譲受・譲渡したとして、臨時物資需給調整法違反等…
事件番号: 昭和27(あ)346 / 裁判年月日: 昭和28年7月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の潤滑油譲受の事実が大赦令の対象となる場合、裁判所は職権で原判決を破棄し、当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。一方、大赦の対象外である他の公訴事実については、行為時法に基づき処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は潤滑油(モビール油)、軽油、及び重油を譲り受けたとして臨時…
事件番号: 昭和27(あ)1528 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】数個の罪が併合罪の関係にある場合において、その一部の罪についてのみ大赦があったときは、大赦の対象となった罪について免訴を言い渡し、残余の罪について刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告会社は、臨時物資需給調整法および石油製品配給規則に違反する複数の罪(別紙一覧表記載の1〜42の…