判旨
被告人の潤滑油譲受の事実が大赦令の対象となる場合、裁判所は職権で原判決を破棄し、当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。一方、大赦の対象外である他の公訴事実については、行為時法に基づき処断すべきである。
問題の所在(論点)
1. 公訴事実の一部が大赦の対象となった場合、裁判所はどのような措置を講ずべきか。2. 犯行後に罰金刑の額に変更があった場合、適用すべき法令はどのように決定されるか。
規範
公訴事実の一部が大赦令(昭和27年政令第117号)の対象に含まれる場合、裁判所は刑事訴訟法411条5号(刑の廃止、大赦等)に基づき職権で判決を破棄し、同法337条3号により免訴を言い渡すべきである。また、刑の変更があった場合には、刑法6条及び10条に従い、原則として行為時法と裁判時法を比較し、軽い方の刑を適用する。
重要事実
被告人は潤滑油(モビール油)、軽油、及び重油を譲り受けたとして臨時物資需給調整法違反等で起訴された。第一審および原審(二審)は有罪としたが、上告中に、公訴事実のうち潤滑油の譲受については大赦令1条88号に該当するに至った。また、軽油および重油の譲受については、犯行後に罰金等臨時措置法による罰金刑の変更(増額)があった。
あてはめ
1. 潤滑油の譲受事実は大赦令1条88号に該当するため、刑訴法411条5号により原判決を職権破棄し、同法337条3号を適用して免訴とする。 2. 大赦の対象外である軽油・重油の譲受事実については、有罪を維持する。 3. 罰金刑の変更については、変更後の刑よりも行為時の刑の方が軽いため、刑法6条および10条の規定に照らし、軽い行為時法を適用して処断する。
結論
潤滑油譲受については免訴。軽油・重油譲受については、行為時法を適用して罰金5万円に処する。
事件番号: 昭和27(あ)729 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の公訴事実については別途刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人両名は、スピンドル油、パラフィン、モビール油の不法譲受け(石油製品配給規則12条違反)、およびB重油の譲受けの事実により…
実務上の射程
免訴事由(大赦)が公訴事実の一部に生じた場合の処理、および刑の変更に伴う法適用の原則を確認する事例。司法試験においては、免訴事由の存否が論点となる際の結論の出し方、および刑法6条の「軽い方の刑」の適用場面における具体例として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)1662 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象とならない他の罪については、適法に確定した事実に基づき刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、共謀または単独でモビール油および軽油を不法に譲受・譲渡したとして、臨時物資需給調整法違反等…
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…
事件番号: 昭和27(あ)606 / 裁判年月日: 昭和27年12月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石…
事件番号: 昭和26(あ)5172 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は刑事訴訟法に基づき職権で判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則に違反し、タービン油を譲り受け、かつ譲渡した事実(公訴事実の一部)等について有罪判決を受…