判旨
弁護人が公判期日に出頭していた場合には、公判廷において判決宣告期日が告知されたものと解するのが相当である。公判調書に弁護人の出頭に関する記載が欠けていても、実際に出頭していた事実があれば、告知の効力を否定することはできない。
問題の所在(論点)
公判期日に出頭していた弁護人に対し、公判廷で次回の判決宣告期日が告知された場合において、公判調書に出頭の記載がないことが、告知の効力や手続の適法性に影響を及ぼすか。
規範
公判期日に出頭している訴訟関係人に対しては、公判廷における告知をもって期日の通知に代えることができる。弁護人が公判期日に出頭していたと認められる以上、その期日において判決宣告期日が告知されたのであれば、適法な期日の告知があったものと解すべきである。公判調書の記載に不備があったとしても、出頭の事実が認められる限り、直ちに告知の効力が失われるものではない。
重要事実
被告人Aの弁護人は、原審(控訴審)の第3回公判期日に実際に出頭していた。しかし、当該期日の公判調書には、弁護人の出頭の有無に関する記載が欠落していた。弁護人側は、調書に記載がないことを理由に、判決宣告期日の告知が不適法であり、判例違反がある旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人Aの弁護人が原審第3回公判期日に出頭していた事実は、弁護人自らも自認するところである。このように弁護人が現に公判廷にいた以上、その場で判決宣告期日の告知を受けたものと判断するのが相当である。公判調書に出頭の記載を欠くという形式上の不備があるとしても、出頭という客観的事実に基づく告知の効力を左右するものではない。したがって、告知手続に違法があるとする弁護人の主張は前提を欠く。
結論
弁護人が出頭していた以上、公判廷での告知は有効であり、公判調書の記載不足のみをもって判例違反や手続違憲とすることはできない。上告棄却。
実務上の射程
刑事訴訟法における期日告知の擬制(法273条2項、規則178条等参照)に関する実務上の判断を示す。公判調書の証明力(法48条、52条)が問題となる場面だが、本判決は「出頭の事実」自体に争いがない場合には、調書の欠落を理由に告知の事実を否定することはできないとする。実務上は、調書の正確性を期すべきであるが、弁護人が自認する出頭事実を覆してまで手続違背を認めるものではないことを明らかにしている。
事件番号: 昭和23(れ)1026 / 裁判年月日: 昭和24年3月5日 / 結論: 棄却
公判調書に矛盾した記載や不明確な記載が爲されてある場合には、他の資料によつてその正誤を判定解釋することは毫も違法ではないのである。從つて他の資料に據るも尚その調査記載の矛盾や、不明確、即ちその記載の正誤が判定解釋がつかず延いて問題の點について、公判手續の適正に行はれた事が證明されず然もその事項が原判決破毀の原因となるも…