一 所論は第一審における辯護人に對する公判期日通知手續に懈怠ありと主張するものであるから、明らかに刑訴法第四〇五條に定める事由に該當しない。 二 所論は第一判決の量刑不當の主張であるから、明らかに刑訴法第四〇五條に定める事由に該當しない。
一 辯護人に對する公判期日通知手續に懈怠があるという主張と上告理由 二 量刑不當の主張と上告の適否
刑訴法386條1項3號,刑訴法405條
判旨
弁護人が公判期日の告知を受けながら正当な理由なく出頭しなかった場合、当該期日の手続に違法はなく、また弁護人に対する通知手続の懈怠も認められない。
問題の所在(論点)
弁護人が公判期日の告知を受けながら出頭しなかった場合において、公判期日通知手続に懈怠があるといえるか。
規範
公判期日の通知手続について、弁護人が前回の公判期日に出頭して次回期日の告知を受け、あるいは期日請書を提出するなどして期日を認識している場合において、特段の事情なく出頭しないときは、通知手続の懈怠や手続上の違法は認められない。
重要事実
被告人の弁護人Bは、第一回公判期日の請書を差し出し、かつ第二回公判期日に出頭して第三回公判期日の告知を受けていた。しかし、Bは当該第三回公判期日に正当な理由なく出頭しなかった。弁護側は、第一審の弁護人に対する公判期日通知手続に懈怠があるとして上告した。
あてはめ
本件において、弁護人Bは第一回期日の請書を提出し、さらに第二回期日に出頭した際に第三回期日の告知を直接受けている。このように弁護人が適法に期日を把握していた以上、第三回期日に自らの意思で出頭しなかったとしても、裁判所側に通知手続上の不備があるとはいえない。したがって、所論のいうような手続の違法は認められない。
結論
弁護人に対する通知手続の懈怠はなく、第一審の判決に違法はない。
実務上の射程
弁護人が期日を認識しながら不出頭であった場合の手続的有効性を肯定する事例である。実務上は、弁護人の権利保障と訴訟進行の迅速性の調和の観点から、適法な告知の有無が判断の分水嶺となる。
事件番号: 昭和25(れ)334 / 裁判年月日: 昭和25年8月9日 / 結論: 棄却
一 辯護人に對し、適法な召喚手續がとられており、且つ裁判所が公判廷において順次次回公判期日を指定告知した以上、特別の事情のない限り、その公判期日に出頭しなかつた辯護人に對しても次回同期日につき重ねて舊刑訴法第三二〇條の召喚手續をしなくても不法に辯護權の行使を制限したものでない。 二 適法な召喚又は告知を受けながら出頭し…