一 辯護人に對し、適法な召喚手續がとられており、且つ裁判所が公判廷において順次次回公判期日を指定告知した以上、特別の事情のない限り、その公判期日に出頭しなかつた辯護人に對しても次回同期日につき重ねて舊刑訴法第三二〇條の召喚手續をしなくても不法に辯護權の行使を制限したものでない。 二 適法な召喚又は告知を受けながら出頭しなかつた辯護人は、該公判期日における審理の經過次回期日等、凡そ辯護人の權義を盡すに必要な事項は遲滯なくこれを確知するに努むべきであることは、正に辯護人當然の責務と云わねばならない(昭和二四年(れ)第九八六號、同年六月七日第三小法廷判決、判例集第三卷第七號第九五三頁參照)
一 辯護人に對し適法な召喚手續をしたが、辯護人不出頭の公判廷で次回期日を告知した場合右辯護人に對し更に召喚手續をなすことの要否と辯護權の不法制限の有無 二 適法な召喚又は告知を受けたが法廷に出頭しなかつた辯護人の責務
舊刑訴法320條,舊刑訴法410條11號
判旨
弁護人に対し適法な召喚や期日告知がなされた場合、出頭しなかった弁護人への次回期日の重ねての召喚は不要であり、不当な弁護権制限には当たらない。
問題の所在(論点)
弁護人が適法な召喚を受けながら公判に出頭しなかった場合において、裁判所が次回期日を改めて召喚・告知しなかったことが、弁護権の不当な制限(手続規定違反)に該当するか。
規範
裁判所が弁護人に対し適法な召喚手続をとり、かつ公判廷において順次次回公判期日を指定告知した以上、特段の事情がない限り、その公判期日に出頭しなかった弁護人に対しても、次回期日につき重ねて召喚手続を行う必要はない。適法な召喚や告知を受けながら出頭しなかった弁護人は、審理の経過や次回期日等、弁護人の権義を尽くすに必要な事項を遅滞なく確知するよう努める責務を負う。
重要事実
被告人の共同弁護人の一人である小河正儀弁護士(以下「弁護士A」)は、原審第2回公判期日に適法に召喚されながら出頭しなかった。一方、同じ事務所に所属する共同弁護人の小河虎彦弁護士(以下「弁護士B」)は同期日に出頭していた。その後、第3回公判期日が指定されたが、裁判所は不出頭であった弁護士Aに対して改めて召喚手続を行わなかった。弁護側は、これが不当な弁護権の制限にあたると主張して上告した。
あてはめ
本件では、弁護士Aに対し適法な召喚手続がとられており、第2回公判において次回期日の指定告知がなされている。また、弁護士Aと事務所を同じくする共同弁護士Bが当該公判に出頭しており、弁護士Aは次回期日を当然に確知し得べき状況にあったといえる。このような状況下で、自らの責務として審理経過や次回期日を把握すべき立場にある弁護士Aに対し、重ねて召喚手続を行わなかったとしても、不法に弁護権の行使を制限したものとは解されない。
結論
適法な召喚等があった以上、不出頭の弁護士に対し重ねて次回期日の召喚をしなくても、弁護権の不当な制限には当たらず、適法である。
実務上の射程
公判期日の指定告知の法的効力と弁護人の善管注意義務的側面を明らかにした。実務上、一度適法に召喚・告知がなされれば、不出頭の責任は弁護士側に帰せられるため、裁判所が重ねて個別告知する義務はない。答案上は、弁護人が期日に欠席した場合の訴訟手続の適法性を検討する際の論拠として使用する。
事件番号: 昭和25(あ)2535 / 裁判年月日: 昭和26年3月8日 / 結論: 棄却
しかし、控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護士たる弁護人でなければ、これをすることができないものであつて、被告人は、原則として公判期日に出頭することを要しないものであるから、所論第三回公判期日に弁護人が出廷して弁論をした以上、仮りに被告人を召喚しなくとも(本件では昭和二五年五月二七日第二回公判期日に被告人出頭の上…